第23章 笑いのツボは人それぞれ。
焦った葵咲は口に人差し指を当てて神威を黙らせようとする。だが時既に遅しだった。
土方「市村!てめっ!外で悪口もらしてんじゃねーぞ!OLの休日かコノヤロー!!」
状況が(色々な意味で)悪いと思った葵咲は、咄嗟に話を切り替える。
葵咲「それより何なんです?これは…。」
土方「誤魔化すなァァァァァ!!」
自分のツッコミを全く受け入れない葵咲。状況が緊縛しているのも事実なので、土方は仕方なしに暁党の情報について葵咲に説明した。
土方「…過激攘夷派、暁党の仕業だ。」
葵咲「!! 暁…党・・・・。」
“暁党”、その名を聞いた途端、葵咲の表情から血の気が引いていく。少し動揺しているようにも見えた。その様子にただならぬものを感じた土方は、葵咲の顔を覗き込んだ。
土方「どうかしたのか?」
葵咲「あ、いえ…。」
葵咲は少し考え込むように俯き、やがて顔を上げて土方の目を見て決意を表した。
葵咲「分かりました。私も参戦します。」
土方「また休みんトコ悪ィな。」
前回の縁日といい、今回の大江戸スカイツリーといい、ことごとく潰れてしまう葵咲の有給休暇。その休日出勤に土方は申し訳なく思った。
葵咲「いえ。」
そんな土方の心情が読み取れた葵咲は笑顔で答えた。葵咲は土方から刀を受け取った。受け取った刀は葵咲の愛刀ではないが、丸腰で戦うわけにもいかないので、何もないよりはマシだろう。
そして葵咲は隣にいたはずの神威がいなくなっている事に気付き、辺りを見回した。
葵咲「…あれ?神威君は?」
土方「あの男か?さっきまで居たけどな。何処行きやがった?」
神威が急にいなくなった事に、土方も言われて気付いた様子だ。
何か嫌な予感のした葵咲は、焦った様子でその場から走り出した。
土方「あっ!おい!市村ァァァァ!!」