第23章 笑いのツボは人それぞれ。
一方、イベント会場では爆発が合図となっていたのか、どこからともなく沢山の攘夷浪士達が現れた。
「オラ動くんじゃねェェェ!!てめぇらにはこのくだらねぇタワーと共に死んでもらう!!」
非難しきれていなかった客達は、慌てて逃げようとする者、腰が抜けてその場にしゃがみこんでしまう者等様々だった。
そんな一般市民を庇いながら、真選組が攘夷浪士達に応戦する。
葵咲と神威は、今この場で何が起きているのか、現状を把握出来ずに舞台上で呆然と立ち尽くしていた。そんな葵咲の様子を見た土方は攘夷浪士を斬り倒しながら壇上へと向かう。
土方「おい市村!!」
突然視界の中に現れた土方に、葵咲は二度見して驚く。
葵咲「え?…えぇぇぇぇ!?土方さん!?ちょ、なんでここにィィィィィ!?」
土方「それはこっちの台詞だバカヤロー!!」
お互い何故この場所にいるのか、理由を知りえない二人はそんな会話のやり取りをする。
そして葵咲は自分のウエディングドレス姿を見た後、ハッとした様子で慌てて両手を振って答弁する。
葵咲「私は…あの、成り行きでっ!」
土方「どんな成り行き!?成り行きで結婚式とか聞いたことねーよ!!」
凄んだ様子の土方を見た神威は、何かを思いついたようにポンと手を叩いた。
神威「あ、もしかしてヤクザの人?」
土方「誰がやくざだコラァァァ!!」
神威とは初対面の土方だが、失礼なその物言いに腹を立て、更に凄みを見せた。だが、神威は変わらずニコニコした表情で葵咲の方を指差しながら言う。
神威「だって言ってたよ?今所属してる場所がヤクザ寄りだって。」
葵咲「わっ!ちょ!神威君!!しーーーっ!!」
映画館で『えいりあんVSやくざ』を見た際に漏らしていた葵咲の言葉には違いない。だが、まさかこんな局面で自分の発言が告げ口されるとは。