第23章 笑いのツボは人それぞれ。
警報が鳴り響いた後、すぐさま場内アナウンスが流れた。
「緊急避難警報です。皆さん、落ち着いて非常出口より非難して下さい。繰り返します。緊急警報です…」
アナウンスを聞いた近藤と土方は顔を見合わせ、眉を寄せて確認しあう。
近藤「おいトシ!これって!!」
土方「ああ、奴らが来やがったか!?」
そう言って二人は神妙な面持ちで辺りを見回した。
イベント会場内はパニック状態になった観客ばかり。攘夷浪士と思われる輩はいない様子だった。
このイベント会場は吹き抜け仕様となっており、その様子は会場観客席からだけでなく、上の階からも見下ろせる状態となっている。
会場の少し上の階から慌てふためくイベント参加者達の様子を見下ろす黒い影がいた。
「あ~あ。おいおい、誰だよォ~。俺のイベントの邪魔する奴ァ…。折角最高潮に盛り上がったトコで最っ高の火花散らせてやろうと思ってたのによォ。仕方ねぇ。ここらへんで我慢してやるかァ~。」
男は呟いた後、手に握っていたスイッチをポチリと押す。その瞬間、会場内が爆音に包まれた。ドォォォォン!!会場内の柱に仕掛けられていた爆弾が作動し、瓦礫が降り注ぐ。
だが、会場内に待機していた真選組達が一般市民を守りながら非常口へと案内していた為、一般市民には今のところ被害は出ていない様子だった。
そしてその様子を防犯カメラで見ていた銀時は固まる。
銀時「えっ…?・・・・・。ま、マジでかァァァァァ!!」
暁党の襲撃情報を知らない銀時は慌てふためく。まさか自分の鳴らした警報が誘発的に…?いやいやいやいや、んなわけあるかァァァァァ!!心の中で叫ぶ銀時。
その場に立ち竦んでいると、イベントスタッフが銀時の方へと駆け寄ってきた。
「坂田さん、ナイスだよ!!この爆弾事件に気付いてたの!?」
実際、銀時はただイベントをぶち壊す為に警報を鳴らしただけだったのだが、功を奏すると言うべきなのか、早めに鳴らした警報が避難誘導に役立ったようだった。咄嗟に銀時はイベントスタッフに会話を合わせる。
銀時「え、いや…。アハ、アハハ。そう、そうなんです!」
「じゃあ君も急いでお客さんの誘導に行って!」
銀時「わ、分かりました~…!!」
銀時はボロを出さない為にも、その場から逃げるようにイベント会場目掛けて走り出した。