第23章 笑いのツボは人それぞれ。
大江戸スカイツリーイベント会場。舞台壇上ではイベント進行の司会者が観客席に向かってイベントの開会を宣言する。
「えーっ、皆様!大変長らくお待たせしました!この大江戸スカイツリーオープン記念の最大イベント、記念すべきカップル!只今を持ちまして開催いたしまァァァァァす!!」
観客席は沸き立ち、歓声に見舞われた。そして司会者はイベントについての概要を説明し始める。
「はてさて、このイベントについてですが、この大江戸スカイツリーの建設開始日に付き合い始め、なんと、今日めでたく結婚されるという最高のカップルを皆様に紹介し、お祝いするというものです。」
イベント内容を聞いていた土方は煙草を咥えながら苦々しい表情を見せた。
土方「ったく、くだらねぇイベントしてやがるな。」
土方の苦言に、近藤も苦笑いだ。そして司会者は舞台袖の方を向き、合図した。
「それでは!新郎新婦、入場です!!」
勿論、土方はこのイベントには全く興味がない様子で辺りを見回す。暁党の攘夷浪士達が動きを見せるかもしれないからだ。一方近藤は、土方に苦笑いを向けていたが、ふと壇上の方に視線をやった。そして出てきた新婦の姿を見て驚愕する。
近藤「お、おい。トシ…あれって・・・・。」
土方「あん?」
近藤に言われて土方も壇上に目を向ける。そして二人は数秒間固まった後、叫び声を上げた。
「・・・・・・・。えぇぇぇぇぇ!!??」
土方「何!?あいつ今日結婚んんんん!?結婚式で振休今日を選んだの!?」
ツッコむ土方に、近藤が更にツッコむ。だがその近藤のツッコミは少し内容がズレていた。
近藤「いやいやないよ!振休届の前に結婚届だよ!それに俺達式に呼ばれてねぇよォォォ!!」
土方「そういう問題じゃねーだろ!!」
二人のそんなやり取りなど知りもしないイベント司会者は、イベントを進める。
「じゃあまずは、誓いのキスからァァァ!!」
“誓いのキス”はイベントの最終項目であったハズ。その意味不明な進行内容に、当然のことながら葵咲は異議を申し立てる。