第22章 人違いはこじれてしまうとややこしい。
だが、葵咲は引き下がりはしない。腰に手を当ててプンスカ怒ったような表情である。
葵咲「それが楽しい事だったらどうするんですか。」
銀時「それお前ホントにそっちに目覚めちゃったらどうするわけ!?責任取れねぇだろが!!」
神威「これはなかなか面白いかもね。」
神威はニコニコスマイルで自分の着ているドレスを見やる。そんな神威に苦笑いの銀時だ。
銀時「おいおい、半分片足突っ込んじゃってるよ、目覚めかけちゃってるよ~…。どうすんの!つーか人違いにしてもなんでこうなったんだよ、スタッフ何考えてんだよ!!」
銀時の言うとおりである。仮に、本来来るはずであったカップルと、葵咲と神威とを間違えたとしても、男女入れ替わった衣装に疑問を感じたのだ。
三人が騒いでいると、先程のスタッフが戻ってきた。
「あっ、二人とも着替えたの?さっき呼んでって言ったでしょ?ちゃんと呼んでよ~。」
銀時「『呼んでよ~』じゃねーだろ!なんで衣装逆転してんだ!!」
「え、だってホラ、この資料に…。」
スタッフが銀時に見せた資料には、新郎新婦の特徴がこう記されていた。
『新郎:渋い緑色の着物着た長髪 新婦:日傘さしたオサゲ』。
どうやら本当に来る予定だったカップルは、男女逆で葵咲と神威の特徴にそっくりだったようだ。
銀時「・・・・・。いやいや確かに本来はそうだったかもしんねーけど。見て気付けよ性別。」
そこは臨機応変に対応しろよと言いたい銀時。
だがしかし、イベントスタッフにも言い分があるようだ。
「いやいや、今時ゲイ、バイ、ビアン色々いるからね、性同一性障害もあるから。そこは深くツッコんじゃあいけねぇよ。」
銀時「どんなトコに気ィ遣ってんだよ!それにしたって一応確認で聞いとけや!!」
それでも引き下がらない銀時の様子を見て、イベントスタッフは自らの間違いに気付いた。
「あれ、もしかして間違いだったの?ごっめーん、じゃあ急いで衣装着替えて。」
銀時「衣装っつーか人からして間違いで…って話聞けェェェスタッフゥゥゥゥ!!」
葵咲達は全くの人違いである事を説明しようとした銀時だったが、スタッフは全く聞く耳持たず、そのまま別の場所へと走って行ってしまった。