第22章 人違いはこじれてしまうとややこしい。
葵咲「あ!ホントだ!神威君、背中のファスナー空いてるよ!」
葵咲は部屋の中へと入っていき、神威のドレスの背中のファスナーを上げようとした。
銀時「ツッコむところそこじゃねェェェェェ!!」
神威「だって手が届かないからさ。」
ファスナーを上げてもらい、神威は葵咲に向き直る。二人ののほほんとした空気に、銀時は余計に苛立つ。
銀時「お前もツッコめェェェェ!!二人ボケ倒してよく今までもったな!ツッコミ役いねぇじゃねーか!!笑い飯でも交代でボケとツッコミ兼任してんだよ!つーかなんでお前は平然とドレス着てんだァァァァァ!!」
ツッコミどころ満載の二人。ボケ役二人の為、銀時はツッコミ役に転じるしかない。しかも天然の入った二人なだけに、ツッコむ回数も自然と増えた。
神威「なんか人違いされちゃったみたい。」
銀時「そーじゃねーだろ!つか二人して勘違いされたの!?」
葵咲「二人で遊んでて、成り行きでこのイベントに。」
説明するのが面倒くさかった葵咲は、神威との出逢い云々の話は省略し、“成り行き”という一言で片付けた。
銀時「どんな成り行き!?つーか何!?お前らそういう関係だったの!?いつの間に!?聞いてねぇんだけどォォォォォ!!」
“成り行き”の一言では今日一日の流れを知る事は出来ない。銀時は、二人がデートするような恋愛関係にあるのかと思い、ショックを受けた。それは以前から見知っている葵咲が、いつの間にやら自分の知っている敵方の男、しかも神楽の兄という立場の男と深い関係になっているという事に自分だけ取り残されたような気分になったのだ。
流石にその勘違いは神威に対して申し訳ないと思った葵咲は、ある程度の説明を加える事にした。
葵咲「違いますよ。戦いより楽しい事一緒に探そうって事になって。ここに来たんです。」
銀時「だからってウエディングドレスはないよね!?」
二人がそういう関係ではない事に、ほっと胸を撫で下ろした銀時だったが、その目的がおかしな方向にいこうとしている事に気付いて更にツッコむ。