第22章 人違いはこじれてしまうとややこしい。
開けて吃驚。そこには正装した葵咲が立っていた。
銀時「・・・・・。何やってんのお前ェェェェェ!!」
まさかそこに葵咲がいるなんて露程も思っていなかった銀時は、驚きのあまり普通のツッコミをした。そんなツッコミに葵咲は動じずに、普通に笑顔で返した。
葵咲「あれ?万事屋さん、奇遇ですね。」
銀時「『奇遇ですね』、じゃねーだろ!何やってんの!?つーかなんでお前がタキシード!?」
銀時が叫んだのにはもう一つ理由があった。そう、葵咲は白いタキシードを身にまとっていたのだ。本来ならウエディングドレスだろう。
葵咲「なんか人違いされちゃったみたいで。」
銀時「いやいやおかしいだろ!花嫁誰!?女同士ってありえなくね!?スタッフも人違いって気付けよ!!」
新郎の格好をしている葵咲を見た銀時だが、花嫁=ウエディングドレス=女性というイメージは捨てきれない。銀時は葵咲が誰か女友達と遊びに来た際に人違いされたのだと思った。銀時がツッコミを入れてすぐに、今度は新婦側控え室から声がする。
神威「着替えました~。」
声の主は勿論、葵咲と一緒に人違いされた神威である。先日聞いたばかりの聞き覚えのある声に、銀時は嫌な顔をする。
銀時「…おいおい、なんかこっちも聞いたことある声なんだけど。スゲー嫌な予感がすんだけど!」
新郎側控え室を出て、声のする新婦側控え室の扉を開ける銀時。そこにはウエディングドレスを身にまとった神威が立っていた。ご丁寧に花のブーケまで手に持っている。
神威「あれ?奇遇だね、お侍さん。」
銀時「だから『奇遇だね』、じゃねェェェェェ!!」
テンプレどおりのツッコミを入れた銀時だったが、ふと冷静になって思った。
(銀時:今日は神楽いなくて良かったな。遭遇したら死闘もんだろ。色んな意味で。)
どうやらこの日の仕事は銀時一人で請け負っているらしい。神楽や新八は別の仕事へと行っているようだ。
銀時が新婦側控え室の扉のところで棒立ちしていると、銀時の傍らから葵咲がひょっこり顔を出し、部屋の中を覗きこんだ。
葵咲「あっ、神威君可愛い~♪」
銀時「いやおかしいだろ!ツッコめよ!!」
平然と『可愛い』という葵咲に、銀時は少し苛立った。ツッコめという銀時の指摘を受け、葵咲は何かに気付いたように声を上げる。