第22章 人違いはこじれてしまうとややこしい。
場所は変わり、大江戸スカイツリー内部。
関係者以外立ち入り禁止の場所の入口付近に、あの男が立っていた。
銀時「ったく…。なんでこうも人が集まってきやがるんだ?どいつもこいつも新しいモンと聞きゃあ飛びつきやがって。まぁお陰で俺は仕事が来たけどー。」
スカイツリーの人の多さにブツブツ文句を言っているのは銀髪の侍、坂田銀時だ。今日の銀時は侍としてではなく、万事屋として警備員の仕事を請け負ったようだ。
銀時は関係者以外立ち入り禁止の場所に、誤って一般人が入ってこないよう、警備を頼まれている。
銀時はその入口のところに立ち、あくびをしていた。すると、奥の方から会場のスタッフらしき男の声が聞こえてきたのだった。
「じゃあ君はこっちの部屋、君はこっちね。」
銀時の立っていた場所には、ロープが張られている。念の為にということで銀時が警備員として配置されているが、ロープの中に一般人は入っては来ないだろう。そう思った銀時は、興味本位でスタッフのいる方へと足を向けた。
歩んだ先には、関係者控え室があった。その控え室の看板を見ると、“記念すべきカップル結婚式 新郎新婦様”と書かれている。そんなくだらないイベント内容に、銀時はため息をついた。
銀時「…ったく、くだらねぇーイベントやってんなァ、おい。こんなんの為に警備員なんかやらされてんのかよ、俺は。」
ブツブツと独り言を言っていると、そこに先程のスタッフが歩み寄ってきた。
「あっ、坂田さん!ちょうど良いところに…。悪いけど二人が着替え終わったらこれ渡して。その後俺呼んでくれる?」
そう言ってスタッフは二枚の紙を銀時に渡す。その紙はこのイベントの進行表だった。
銀時「へいへーい。分かりましたっ。」
銀時が進行表を受け取ると、スタッフは忙しそうに別の場所へと向かって走っていった。
銀時は進行表の内容には全く興味がない様子で、目もくれない。ダルイ様子で控え室前にある椅子に腰掛ける。
暫くすると、控え室の中から声が聞こえた。
「着替えましたけど~。」
銀時「はいはーい、じゃあ空けますよ~。ってなんか聞いたことある声だな…。」
その声に聞き覚えのある銀時だったが、とりあえず新郎側控え室の扉を開けた。