第21章 遊びの計画は他人任せが楽で良い。
葵咲「あぁっ!!そうだったァァァァァ!!」
神威「!? な、何?」
突然の叫び声に流石の神威も背筋をビクッとさせて驚く。葵咲は両手で頭を抱えて言った。
葵咲「今日はあれだよ!大江戸スカイツリーオープンの日だよォォォ!!すっかり忘れてた!その為に振休今日にしてもらったんだったァァァ!!」
神威「その為に休み取ったのに忘れてたの!?目的見失いすぎでしょ!!」
葵咲の発言に思わずツッコミを入れてしまう神威。葵咲は今度は神威に向き直り、角度90度のかなり丁寧なおじぎで頭を下げて神威に願う。
葵咲「次は大江戸スカイツリー行こう!お願いします!」
神威「もうアンタのお願いになってるんだけど!!」
葵咲「今日は私に一日くれるって約束でしょう!」
神威「その為の最初の目的は!?俺の楽しい事探しは!?もはやアンタの楽しい事に付き合わされてるだけなんだけど!!」
神威のツッコミオンパレード。なかなかレアな光景である。
だが神威のツッコミはさらっと流し、葵咲は自分の意見を押し通した。
葵咲「よし、決まり!じゃあ次は大江戸スカイツリー!!」
神威「ねぇ、お姉さん俺の話聞いてる!?全然俺の話聞いてないよね!?」
今度は葵咲は真剣な眼差しを神威に向け、説得するように神威の肩に手を置いて言った。
葵咲「絶対スカイツリー楽しいよ。ウン、絶対神威君も気に入るよ。これだったんだよ、神威君の捜し求めてたものは。」
神威「絶対アンタが捜し求めてただけだと思う!」
そうして葵咲は半ば強引に神威の手を引いて大江戸スカイツリー方面へと歩みだした。
そんな二人の様子を陰から見ていた阿伏兎は、驚いたような表情で感想を漏らす。
阿伏兎「…こいつァ驚いた。あの団長が他人のペースに巻き込まれるなんてなァ。」
葵咲に感心を示した阿伏兎だったが、すぐに表情を改め、睨むような目つきで葵咲を見た。
(阿伏兎:あの女は…ちょいと危険かもしれねぇな。)
心の中で葵咲を警戒し、二人の後を追う阿伏兎だった。