第21章 遊びの計画は他人任せが楽で良い。
二人は動物園を堪能し、園の外へと出てきた。
葵咲は自分の目当てのエイリアンが見れて大満足の様子である。
葵咲「なかなか楽しかったね~!」
神威「そう?俺には何が楽しかったのか分からないよ。」
葵咲「…ですよねぇ~…。」
今回の動物園は神威を楽しませるというよりは、自分が楽しむのが目的だった。その事に少し申し訳なく思えた為、次は真剣に神威の事を考えようと頭を悩ませた。
葵咲「うーん…。じゃあ次は・・・・。(ぐぅ~っ。)」
考えてる真っ最中、葵咲のお腹が鳴った。その音は神威にも聞こえる程、盛大な音だった。その事に恥ずかしく思った葵咲は顔を真っ赤にして一瞬黙り込んでしまう。
葵咲「・・・・・。ねぇ!お腹すかない!?お団子屋さん行こう!うん!それがいいよ!!」
神威「…それ、アンタが行きたいんでしょ。」
先程の葵咲のお腹の音を聞いていた神威は、更に厳しい指摘をする。
葵咲「よし、決まり!じゃあお団子屋さん行こっか~。」
神威「俺まだ行くって言ってないんだけど。」
葵咲の頭の中は空腹により、団子の事でいっぱいだった。
普段からあまり人の話を聞かない葵咲。勿論、この時の神威の言葉にも耳を傾けるはずがない。自らのオススメの団子屋を目指して歩き出した。
葵咲「美味しいお団子屋さんがあるんだよ~。」
神威「ねぇ、お姉さん俺の話聞いてる?」
葵咲に対する神威のツッコミが定番化してきた時、二人の姿を見つける男の姿があった。
阿伏兎「うん?あっ!なにやってんだ、あのすっとこどっこい! 誰だ?あの女…。団長が女連れて歩くなんざ珍しい事もあったもんだなァ。明日は槍でも降ってくんじゃね?」
思わず電柱の陰に隠れて神威達の様子を見守る阿伏兎。何かを思いついたように右手を顎に持ってき、ニヤリと笑みを浮かべた。
阿伏兎「面白そうだし、ちょっと尾行(つ)けてみるか。」