第21章 遊びの計画は他人任せが楽で良い。
そして葵咲は、先程の神威の発言に対して苦言した。
葵咲「それより神威君、簡単に殺すなんて言っちゃダメだよ。」
神威「どうして?楽しいじゃない。」
だが、神威はそんな葵咲のお叱りの言葉には聞く耳を持ちはしない。ケラケラと笑いながら答える神威に、葵咲は頭を抱えた。
葵咲「これが夜兎族か。噂には聞いてたけど…。う~ん…。殺しよりも楽しい事っていっぱいあると思うんだよね。」
神威「そう?俺は闘いが一番楽しいなぁ。」
闘いが一番楽しいという神威を説得する方法を考え、葵咲は少し唸って下を向く。
そして何かを思いついたように手を叩き、神威に向き直った。
葵咲「ねぇ、今日一日、私にくれない?」
神威「え?」
葵咲「闘いよりも楽しい事、一緒に探そう!私が一緒に神威君の楽しい事見つけるよ!」
葵咲の提案に、流石の神威も面食らった表情を浮かべる。いつものニコニコフェイスが消え、目を瞬かせた。
神威「アンタ珍しいね。そんな事言われたの初めてだよ。」
そして神威は少し考えてから、暇つぶしがてら、葵咲の提案に乗るのも悪くないという結論に達した。
神威「まぁ…いいよ。暇だし、たまにはそういうのもいいかもね。」
葵咲「やった♪何処か行きたいトコとかは?」
神威「ないよ。」
葵咲「…ですよねぇ〜…。」
闘いが趣味の神威。葵咲の提案に乗ったのも単なる気まぐれだ。何処か行きたい場所などあるはずもない。始めから期待はしていなかったが、あまりのそっけなさに葵咲は肩を落とした。
葵咲「じゃあどうしようかな…。映画とか見に行ってみる?」
神威「俺はよく分からないからお姉さんに任せるよ。」
葵咲「よし、決まり!じゃあ光栄劇場行こっか~。なんか良い映画やってるといいんだけどな~。」
そうして二人は光栄劇場の方へと足を向けた。
一方、神威の一番の部下、阿伏兎は神威の行方を捜していた。
阿伏兎「…ったく仕事放っぽって何処行きやがったんだ?あのすっとこどっこい…。チャランポランな上司持つと部下が苦労すんだよ。まったく…。」
どうやら神威は無断でウロウロしているらしい。阿伏兎は宛てもなく、歌舞伎町内を歩いていた。