第21章 遊びの計画は他人任せが楽で良い。
神楽と神威の仲が良くはない事など知りもしない葵咲は、遠路遥々遠い地球へと妹へ会いに来たのだと勝手に思い込んだ。
吉原の抗争はつい先日の出来事。神威は春雨の戦艦へと戻る前に地球をぶらりと散歩してから帰ろうとしていたにすぎなかった為、葵咲の考察を笑顔で前面から否定した。
神威「全然。」
だがしかし、完全に否定する神威の言葉を葵咲は聞いていない様子だった。
葵咲「じゃあ神楽ちゃんのトコまで案内しますね!」
神威「お姉さん、俺の話聞いてる?」
そんな神威のツッコミにも葵咲は聞く耳を持っていないようだった。またもや無視し、そのまま歩きだそうとする。神威はふと葵咲の方に目をやった際に、葵咲の腰にある刀に気が付いた。
神威「お姉さん、腰に帯刀してるってことは…もしかしてお侍さん?」
葵咲「ええ、まぁ。…一応?」
神威「なんで疑問系なの。」
葵咲「今日はオフなので。」
神威「オフでもそこは変わらないでしょ。」
葵咲の自論としては、今日は完全にオフモード。戦う気がない為、侍も休業という事らしい。
神威は先日の銀時と夜王鳳仙との闘いより、侍に至極興味を抱いている。その対象は葵咲も例外ではなかった。いや、むしろ女性の侍という存在に、より興味が沸いているようだ。
神威が興味津々と言った眼差しで葵咲の事をまじまじと見ていると、先程の葵咲を追いかけていた攘夷浪士達が追いついてきてしまった。
「追いついたぜぇ。市村葵咲!」
葵咲「あ。 あっちゃ~…。」
神威との遭遇で攘夷浪士の存在をすっかり忘れてしまっていた葵咲。浪士達の顔を見て、自分が追われていた事を思い出したのだった。
自分達の前に立ちはだかる攘夷浪士達に、神威も目を向ける。
神威「なに?こいつら。」
葵咲「さっき撒いたつもりだったんだけどなぁ。」
神威「追われてるの?」
葵咲「う~ん、まぁ。」
少し困った表情で頭を掻く葵咲。ここまできたら戦うしかないと思ったものの、神威を巻き込んでしまった事に申し訳なく思ったのだった。