第20章 下心は知らないうちに懐に忍び込む。
それから数分も経たないうちに、近藤や山崎、新八や神楽もこの場所へと辿り着いた。
近藤「怪我はないか?葵咲。」
山崎「ホント、無事で良かったよ~。」
葵咲「近藤さんに、退君も?どういうこと??」
近藤「すまない、実はな…。」
状況が把握出来ていない葵咲に対して、近藤は今回の一件を一から説明する事にした。
事件の全貌を聞いた葵咲は、申し訳なさそうな顔つきで、二人に謝った。
葵咲「…そうだったんですか。なんだかご迷惑お掛けしちゃったみたいで、ごめんなさい。」
近藤「何を言ってるんだ、それはこちらの台詞だろう。折角の休みを壊してしまってすまなかったな。」
葵咲「そんな、謝らないで下さい。助けて頂いて有難うございます。」
山崎「今日は花火も上がるみたいだし、残りの時間、副長と楽しんできなよ。」
山崎は葵咲に気を遣って、優しい言葉を掛けると同時に、土方の方を見てニヤリと笑った。
土方「ニタニタしながらこっち見てんじゃねーよ!!」
そして葵咲は何かを思いついたように、近藤と山崎、そして土方と万事屋三人の六人に目を配りながら言った。
葵咲「…あの、本堂の入口近くに屋台の居酒屋さんがあったのを見かけたんですが、皆でそこに行きませんか?良かったら、万事屋さん達も一緒に。折角の縁日、これも何かのご縁です。」
神楽「賛成アル!」
この提案に一番に賛同したのは神楽だった。
そしてその神楽をたしなめるように今度は新八が口を開いた。
新八「神楽ちゃんはお酒はダメだからね。」
神楽「それを言うなら新八、お前もアル。」
そんな二人のやり取りは無視し、今度は土方が煙草に火を点けながら言った。
土方「酒か。悪くねぇな。こいつらも一緒ってのが気にくわねぇが。」
銀時「じゃあお前だけ別んトコで一人で飲んで来いよ。俺はその居酒屋に行くけど!」
土方「何で俺だけ別んトコ行かなきゃならねぇんだよ!てめぇがどっか行けよ!!」