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銀魂 - 雪月花 -

第20章 下心は知らないうちに懐に忍び込む。


一方、一人その場から抜け出した葵咲は、本堂の裏手まで来ていた。
走り疲れた葵咲は、息を整えながら、ふと夜空を見上げた。そこには無数の星が輝き、とても綺麗な夜空があった。どうやらここが近藤の言っていた星空が綺麗に見える絶景スポットらしい。
普段なら夜空を見て、わぁ~綺麗~などと声を上げる葵咲なのだが、この時ばかりは心に余裕がなく、再び視線を落としてため息を漏らした。


葵咲「…ハァァ~。どうしよう。土方さんに合わせる顔がないよ…。」


近くの木にもたれかかり、うなだれるようにしゃがみこむ葵咲。
すると、葵咲の前に数人の男達が群がってきた。


「こんな人気のねぇところに一人で来るなんざ、ちょっと無用心なんじゃねぇか?」

葵咲「あなたたちは…!!」


声を掛けられて顔を上げた葵咲は、男達の顔を見て、口を開いた。


「よぉ。久しぶりだなァ。俺達の事忘れたなんて言わねぇよな?」


その男達こそ、高橋一派の残党だったのだ。
だが、葵咲はそのことには気付いていない様子である。両手を前に出して手を振った。


葵咲「あのっ、そういうのお断りなんで。ナンパとか、そういうのはちょっと…。」

浪士「ナンパじゃねーよ!!」


高橋一派の事など、完全に忘れてしまっている葵咲。この声を掛けてきた男は大江戸信用金庫襲撃事件(未遂)の際にもいたのだが、微塵も覚えていないようだ。
ナンパじゃないと言われても全く思い出せない葵咲は、また見当違いの発言をした。


葵咲「あっ、もしかして今流行の拙者拙者詐欺ですか?知り合いの振りして騙すのは良くないですよ。それに私、お金もないですし。」

浪士「どっちも違うわァァァ!!てめっ!まさか忘れたんじゃねぇだろうな!?テメェの裏切りのせいで高橋さんは捕まっちまったんだぞ!!」


そこまで言われて、どうやら本当に顔見知りのようなのだが、それでもやはり思い出せない葵咲。
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