第20章 下心は知らないうちに懐に忍び込む。
だが最後まで言い切らぬうちに我に返り、ツッコんだ。
山崎「でも副長、なんでもない素振り見せといて意外と大胆なんですね。いきなりBまでいっちゃうなんて。」
頬を赤らめながら含み笑いで言う山崎。そう、先程倒れこんだ拍子に、土方の手は葵咲の胸へと触れてしまっていたのだった。
この場にいた大半の人間は口付けしてしまった事に気を取られて目に入っていなかったのだが、山崎だけはその現場をしっかりと目撃していたのだった。
土方「だからあれ事故ォォォォォ!!」
銀時「てめぇ…覚悟は出来てんだろうなぁ…。」
土方「つかなんでてめぇがキレてんだよ!!」
『いきなりBまで』その言葉を聞き逃さなかった銀時は、鬼の形相で土方を睨み付けていた。今度こそ本当に二人が喧嘩を始めそうになったその時、新八が驚いた様子で声を上げた。
新八「ちょ!なんでこんなところに銃痕が!?」
屋台の柱に拳銃の弾がめり込んでいるのを新八が見つけたのだ。
その位置からして葵咲を狙ったものだった。
先程葵咲が土方と倒れ込んでいなければ、下手をすれば急所に当たっていたかもしれない。
新八のその言葉に、本来の目的を忘れかけていた土方達真選組三人がはっと目を覚ました。
土方「そうだ、市村が危ねぇっ!!」
近藤「!! 万事屋!悪いが一緒に葵咲を探してくれんか!?」
三人のただならぬ様子に、銀時は真剣に向き合う。
銀時「おい、どうしたって言うんだよ?」
近藤「詳しい話は後だ!!」
山崎「葵咲ちゃん、命狙われてるんです!!」
万事屋三人「!?」
詳しい事情は分からなくても、命を狙われていると聞いて、黙って見過ごすわけにはいかない。
銀時達万事屋の三人も葵咲探しに助力することにした。
銀時「おい、新八はあっち、神楽はそっちを探せ!!」
新八「了解です!」
神楽「分かったアル!!」
銀時は即座に新八と神楽に指示し、六人は手分けして葵咲を探す為、散り散りになった。