第2章 個人情報を守れれるのは己のみ。
攘夷浪士達の攻撃を交わし、応戦しながらも土方は桂達の会話を聞いていた。
桂「俺と関わったばかりに奴に捕まったのだろう?」
その発言を聞き、土方の中で全てが繋がったのだった。葵咲の瞳は何処か見覚えがあった。ミツバに似ていたからこそ、記憶が薄れてしまっていたが、それは昨晩の事だったのだ。
葵咲「ちょっと待ってよ!違…」
葵咲が桂の誤解を解こうと、状況を説明しようとした時、土方の方の決着がついた。土方は襲いかかってきた攘夷浪士全てを倒した。そして土方は自らの刀を桂と葵咲へと向けた。
土方「おい。お前、桂とどういう関係だ?…いや、訊くだけ野暮だな。…お前、昨夜桂と共に攘夷活動を行なっていたな?」
桂「貴様!!」
抜刀しようとした桂の手を、色白で華奢な手で覆い、必要ないと言うように葵咲は桂の一歩前へと進み出た。
葵咲「お答え出来ません。」
土方は葵咲の眉間に刀を向ける。後一歩でも進もうものなら、顔に刀が刺さる距離だ。
土方「誤用改めだ。お前に拒否する権利は無い。」
その言葉にも怯まず、眉一つすら動かすことなく、凛とした姿で葵咲は答えた。
葵咲「例え何を訊かれても、どんな尋問、拷問を受けても私からは何もお答えすることは出来ません。」
土方「…それは認めたと捉えていいんだな?」
葵咲「・・・お客様の個人情報をお守りするのも護り屋の仕事ですから。」
土方「!・・・・・。」
迷いが生じたのは土方の方だった。様子を伺いながら倒れていた攘夷浪士の一人が、その隙を見逃さず、土方に斬りかかった。
「土方ァァァ!!」