第2章 個人情報を守れれるのは己のみ。
五人の攘夷浪士から切り抜けたと思えた土方と葵咲だったが、勿論浪士達の追跡はやむはずもなく、追跡者の数も七人、十人と増えていた。攘夷浪士十人以上の襲撃を全く予想していなかった葵咲は、土方に抗議した。
葵咲「ちょっと土方さん!?貴方こんな過激に狙われてたんですか!?聞いてないですよー!!分かってたらもっと準備してきたのにィィィ!!」
土方「俺だってこんなの滅多にないわ!!」
追跡者をまこうと必死に走っていた二人は、道を間違え、行き止まりに辿り着いてしまう。これはもうやるしかない、土方はそう思って抜刀しようとした時、攘夷浪士の一人が口を開いた。
「もう逃げられねぇぜ。その女、大人しくこっちに渡してもらおうか。」
土方「!?なっ!?お前が狙われてたんじゃねぇかァァァ!!」
てっきり真選組副長である自分が狙われていたのだと思っていたら、とんだ思い違いだった。勿論、葵咲も驚きを隠せない。
葵咲「えぇぇぇぇ!?知らないですよ!なんで?!」
土方「こっちが聞きたいわァァァァァ!!」
二人がそんなやり取りをしていると、隙が出来たと見た攘夷浪士の一人が土方に斬りかかってきた。
「ごちゃごちゃうるせェェェ!!」
数人の攘夷浪士が一斉に土方に斬りかかったその時、何者かがすかさず葵咲の手を引いて土方から引き離した。しまった!そう思った土方が見た視線の先にいたのは、よく見知った顔、黒髪長髪の攘夷志士、桂小太郎だった。
桂「大丈夫か!?」
桂は土方には目もくれず、葵咲に怪我の有無を問うた。
葵咲「え?桂さん!?」
状況が全く読めていない葵咲は、ただ目を瞬かせ、桂の瞳を見据えた。
桂「すまない、お前を巻き込むつもりはなかったのだが…。」
葵咲「どういうこと??」