第20章 下心は知らないうちに懐に忍び込む。
土方「違う!これはマジで違う!!俺のじゃねぇ!!」
銀時「今まさしく現在進行形でお前の懐から出てきてんだろうが!!つか何個持ってんだよ!何回ヤる気なんだよ!どんだけ欲求不満なんだよ!!」
なおも銀時が土方の胸倉を掴んで揺すると、まだまだポロポロと零れ落ちてくるコン●ーム。真実は土方が持っていたものではないのだが、かといって事情を一から説明するわけにもいかない。流石に言い逃れが出来ず、適当な返答をした。まぁ事実、嘘ではないのだが。
土方「知らねーよ!いつの間にか入ってたんだよ!!」
銀時「何処の政治家だてめぇ!!くだらねぇ言い訳してんじゃねぇぞコルァァァ!!」
二人がいがみ合っていると、その会話を聞いてか聞かないでか、葵咲が土方に促すように言った。
葵咲「そんな事より、中で座って待たない?」
(銀時・土方:そんな事…!!ガガーン)
二人が軽くショックを受けた理由は先程と同じだ。誤解とは言え、自分は全く男として意識されていない事に対して、土方は複雑な思いを抱えたのだった。
そして先程と同じく、葵咲の発言に答えたのは新八だ。
新八「そうですね。少し時間かかりそうですし、長谷川さんが戻ってくるまでこちらの席にどうぞ。」
そう言って新八は、屋台のすぐ横にあるテーブル席へと二人を案内した。
葵咲「ありがとうございます。」
土方「おい気ィ付けて歩けよ。また転ぶぞ。」
ひょこひょこと歩き出す葵咲に対して、半分呆れ顔で土方は注意を促した。
葵咲「大丈夫だってば。もう走らないか…らっ!?」
案の定と言うべきか、葵咲は足をぐねってしまった。こけそうになった葵咲は、咄嗟に近くにあった土方の浴衣の袖を引っ張ってしまったのだった。
土方「えっ!?ちょ!!」
銀時「…え?」
そしてそのままの勢いで二人は倒れこんでしまった。