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銀魂 - 雪月花 -

第20章 下心は知らないうちに懐に忍び込む。


そんな様子を遠からず近からずの距離で見守っていた近藤と山崎が、悔しそうに声を上げた。


山崎「ああっ!おしいっ!!」

近藤「万事屋のバカァァァ!折角いいセン行ってたのにィィィ!!」


そんな二人には気付かない銀時は、土方をなおも問い詰める。


銀時「違うっつーならその空を泳いでる手の説明しやがれェェェ!!」

葵咲「そんな事より万事屋さん達は何してるんですか?」


二人のいがみ合いをさらっと流した葵咲は、屋台の中にいた新八に声を掛けた。


(銀時・土方:そんなこと…!ガーン)


葵咲を心配して土方を問い詰めていたのに、それをさらっと流されてしまった事に銀時はショックを受けたのだ。
また、自分が手を繋ごうとしていた事に対して何のリアクションもせず、異性として全く意識されていない事に、土方も少しショックを受けた。

そんな二人の様子に気付いていない新八は、平然として葵咲の問い掛けに答えた。


新八「長谷川さんのお店の手伝いに来たんです。」

長谷川「おう!『まろやかで 大人気の お好み焼き』略してマダオスペシャル!良かったらお嬢さん達も食ってってくれよ!」


そう言いながら屋台のお好み焼きを焼いているのは、まるでダメな男、マダオこと、長谷川泰三だ。
美味しそうなお好み焼きを見て、葵咲は笑顔で答えた。


葵咲「美味しそう~。じゃあ頂きます。土方さんも食べる?」

土方「マヨネーズ大盛り、出来るんだろうな?」


大のマヨラー土方にとっては、それは譲れない条件だ。その問い掛けを聞いた神楽は、調味料を確認する。


神楽「あぁっ!大変ネ!もうマヨがほとんどないヨ!」

長谷川「何ィ!?折角今日は稼ぎ時だってのに俺って奴は…どこまでマダオなんだ!!」


悔しそうに屋台の柱に手を置き、下を向く長谷川。そんな長谷川に銀時が真剣な表情で話しかけた。


銀時「あんたは何としてでもマヨネーズ集めて来い。この場は俺達がなんとか持たせてみせる。」

長谷川「…それお寿司屋さんでも言ってなかった?ついこないだほったらかしてったよね?」


その提案に顔を上げ、銀時の方を見やる長谷川。その表情からして、あまり信用がないようだった。無理もない。大繁盛していた回転寿司屋の店番を少しの間任せた為にめちゃくちゃにされたのは、つい先日の事なのだ。(22巻187訓参照)
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