第19章 トゲトゲしてるだけで、何か強そうに見える。
土方「つーか、てめぇウニ誰にもやる気ねぇだろ!!」
「お客さん、こんな祭の場でイチャモンつけられちゃ適わねぇよ。」
これには屋台の店主も黙っちゃいない。腕を組んでしかめっ面をしながら土方を見据えた。だが、勿論のこと、土方もそんな睨みじゃ引き下がらない。
土方「イチャモンじゃねぇだろ、普通の意見だろうが。」
「仕方ねぇ、じゃあお客さんには特別大サービスだ。こっちのハリセンボンすくいを堪能していきなァァァ!!」
そう言って屋台の店主は隠していた水槽からハリセンボンを取り出し、ウニの横に放した。
土方「ウニと変わらねぇじゃねぇかァァァ!!」
葵咲「よっしゃー!気合入れて次こそは…!!ハリセンボンは絶対手に入れないと!!」
右手に拳を作って気合を入れる葵咲。そんな葵咲に土方はまたもや即座にツッコむ。
土方「だから無理だっつってんだろ!!」
葵咲「土方さん、諦めたらそこで試合終了だよ。」
やれやれ、そういった表情で土方を見やる葵咲。だがこれにも土方は引き下がらない。
土方「名作の名台詞こんなトコで使ってんじゃねーよ!諦める前から試合は終わってんだよ!最初っから負け試合なんだよ!!っつーか、なに?そんなにハリセンボン好きなの!?」
葵咲「うち警察犬いなかったよね?警察犬代わりになると思って。」
土方「なるかァァァァァ!!」
葵咲「トゲトゲは強いよ~。」
土方「その前に水槽から出られねんだよ!戦えねんだよ!」
『水槽から出られない』そのセリフを聞いた屋台の店主は、二人の会話に割って入った。
「お客さん、そこまで言うなら仕方ねぇ。今日は大大大サービスだ!持ってけ泥棒!ハリネズミすくいだァァァ!!」
土方「トゲトゲから離れろォォォ!!トゲトゲしてる時点で無理だっつってんだよ!薄い紙じゃ破れるっつってんだよ!!」
「だから誰の髪が薄いんだコラァァァ!!」
土方「うるせェェェェェ!!」
またもや“紙”を“髪”の意と捉えて怒る店主だったが、土方は怒鳴って一蹴した。