第19章 トゲトゲしてるだけで、何か強そうに見える。
近藤「おぉー!手!手ぇ繋いだぞ!!」
山崎「ちょ、局長興奮しすぎですって!」
勿論この二人、近藤と山崎だ。
二人は屯所からずっと土方達の後を付けてきていたが、この縁日にも来ていたようだ。
二人が見守る視線の先には手を繋いだ土方と葵咲。と、思いきや、葵咲が起き上がると土方はすぐにその手を放した。
近藤「あーっ!何やってんだよ、何で放すんだよ!」
山崎「副長ああ見えてウブですからね~。」
折角極自然に良い感じに手を繋いだのに、そのまま歩いていけば良いものを、さっと手を放してしまった二人。そんな二人を影から見てもどかしく思ってしまう近藤と山崎なのであった。
起き上がった葵咲は、神社の奥の方を指差しながら、駆け出そうとする。
葵咲「あっ、土方さん!あっち行ってみよ!」
土方「おい、走るなって!また転ぶ…」
先程の転倒もあり、土方が注意を促そうとしたその時、またもや葵咲は勢いよく転んだ。今度は転がるのではなく、頭から滑り込む形だ。
土方「って言ってるそばからァァァ!!つかお前転びすぎだろ!どうしたらそんなに転べんの!」
葵咲「慣れない草履履いてるもので…。」
土方「慣れないにしてもおかしいだろ!ヘッドスライディングの勢いだったよね!?」
今度は土方が手を差し伸べる前に、葵咲が起き上がった。そしてどや顔をしながら土方に言った。
葵咲「人生は七転び八起き、ってね。」
土方「うまくねんだよ!今人生の話なんかしてねーよ!」
葵咲「あっ…。」
そんな土方のツッコミは聞かず、葵咲は何かを見つけたのか、とある屋台の方へと駆け出した。