第18章 さりげない気遣いの出来る男、それがモテる男。
その様子を見て土方は尋ねた。
土方「なんだ、縁日嫌いか?」
葵咲「あ、いえ!何年ぶりかな~って。」
土方「?」
少し様子のおかしな葵咲だったが、特に嫌というわけではないようだ。土方が片眉を上げて怪訝な顔をしていると、今度は葵咲が土方に問いかけた。
葵咲「でも、浴衣も持ってないし…私なんかと行っても土方さんがつまらないんじゃ…。」
少し遠慮がちに言う葵咲に対し、土方は少し考えるように腕組みをし、少し間を置いてから話を持ちかけた。
土方「・・・・・。じゃあ昼間は浴衣でも買いに行くか。」
葵咲「えっ?」
土方「持ってねぇんだろ?だったら買いに行きゃいいだろ。」
葵咲「でも…いいの?そんな事まで付き合わせちゃって。」
まさかそこまで付き合ってもらえると思っていなかった葵咲は、申し訳なさそうな顔で土方を見る。
土方「一日暇を貰ったはいいが、俺も特にする事ァねぇしな。それに俺も浴衣ねぇからついでに買うわ。」
葵咲「ありがとう。じゃあ一緒に宜しくお願いします。」
煙草の煙を吐き出しながら言う土方。そんな土方の提案を葵咲は遠慮するのではなく、素直にその好意を受け取ることにした。
そして葵咲は、今度は少しわくわくした表情を見せながら土方に話しかけた。
葵咲「浴衣か~久しぶりだなぁ~。何色がいいかな?」
土方「んなもん見てみなきゃ分かんねーだろ。」
葵咲「そだね。楽しみ。」
顔の前で両手を合わせて微笑む葵咲を目の前に、土方はまた少し照れてしまった。
土方「じゃあ明日な。」
葵咲「はい。」
明日の時間等を話し終えた後、土方は葵咲の部屋を後にした。