第17章 賃金の発生する仕事には必ず契約書を。
それから約三十分後のこと、ようやく他の真選組隊士達も駆けつけ、事態は収拾したのだった。
葵咲がハンカチで左腕の傷の止血を行なっていると、総悟が葵咲の下へと駆けつけた。
総悟「葵咲姉ぇ!大丈夫ですかぃ!?あっ!怪我してるじゃないですか!!」
葵咲「大丈夫だよ、これくらいのかすり傷。」
総悟に心配かけまいと笑顔を向ける葵咲。そんな葵咲に少し距離を感じて、総悟は寂しそうな表情をする。
そこへ、申し訳なさそうな顔をした近藤も訪れた。
近藤「すまない、とんだ初任務になってしまったな…。」
葵咲「初陣にしてはなかなかのもんでしょ?」
なおも笑顔を絶やさずに言う葵咲に対して、近藤は真面目な笑顔で言った。
近藤「お前が身体はって護ってくれたお陰で、どうにか市民に怪我人を出さずに済んだ。ご苦労だったな、ありがとう。」
総悟が寂しそうな表情のまま、何かを葵咲に言いかけたその時、土方が総悟へと声を掛けた。
土方「おい総悟!こいつら連れてけ。」
その声に総悟は振り返り、今度は土方を睨み付けながら言った。
総悟「・・・・・。土方さん、なんで葵咲姉ぇだけ怪我してアンタは無傷なんですかぃ?アンタまさか葵咲姉ぇが負傷した時、黙って指咥えて見てたってんじゃ…」
今にも掴みかかりそうな総悟の肩に葵咲は手を置き、制するように笑顔を向けながら言った。
葵咲「違うよそーちゃん、これは私が勝手に人を庇って出来た傷だから。」
総悟「けど葵咲姉ぇ…。」
葵咲「大丈夫。それよりこの人達をお願いします。」
総悟「…分かりやした。葵咲姉ぇがそこまで言うなら…。」
総悟はしぶしぶ承諾し、攘夷浪士達を引き連れてパトカーへと向かう。