第17章 賃金の発生する仕事には必ず契約書を。
銀時は攘夷浪士の事は構わずに、自分の上に一緒に倒れこんだ葵咲の様子を伺う。
銀時「おい!大丈夫か!?」
葵咲「大丈夫です。掠っただけですから。」
銀時「お前は何でそんな無茶ばっかり…。」
葵咲「一般市民の方を護るのは警察の役目ですから。」
銀時「!?」
葵咲は銀時の上から起き上がり、子供の下へと走る。
そして子供の手を引いて、銀時の前へと来て言った。
葵咲「それより、この子をお願いします。このビルから連れ出してあげて下さい。早く!」
銀時「チィっ!おら!こっちこい!!」
銀時は葵咲の依頼を受け入れ、子供を肩に担いだ。
そして銀時はそのまま、ビルの入口へと向かって走り出した。
銀時「ちゃんと300円払えよォォォォ!!」
「お姉ちゃァァァん!ありがとォォォ!!」
振り返らずに走りながら叫ぶ銀時に続いて、担がれながら子供が葵咲に向かって叫んだ。その様子を見て葵咲は、優しく笑顔で小さく手を振った。
その時、葵咲の背後に攘夷浪士が現れた。
「てめぇ…ふざけてんじゃねぇぞ。」
葵咲「!!」
銀時と子供に気を取られていた葵咲は、背後の気配に気付くのに遅れた。咄嗟に両腕を顔の前にやって目を伏せた葵咲だが、次の瞬間、その攘夷浪士の悲鳴が聞こえてきた。
「ぐわァァァァァ!!」
驚いた葵咲は目を開けて前を見やると、そこには大量の返り血を浴びて佇む土方の姿があった。まさしく鬼の副長。その姿は鬼そのものと言っても過言ではないかもしれない。
葵咲が何も言えずにその場に立ち竦んでいると、土方が葵咲を一喝した。
葵咲「・・・・・。」
土方「ぼけっとしてんじゃねぇぞ!!」
葵咲「は、はい!!」
そうして二人は刀を構え、ビル内にいる攘夷浪士たちを殲滅した。