第17章 賃金の発生する仕事には必ず契約書を。
葵咲「色々と入用なのでこの口座までお願いします。」
「入用なので、じゃねーよ!!お前ホントに真選組ィィィ!?ただの恐喝じゃねーか!!」
葵咲「上にバレたら困るので内密にヨロシク。」
「ヨロシク。じゃねぇよ!ふざけんなァァァ!!」
そんなやり取りを近からず、遠からずの距離から眺めていた銀時と土方は、その場に立ち竦みながら冷静にツッコんだ。
土方「何やってんだ?あいつは。」
銀時「さァ。借金でも抱えてんじゃね?」
一向にお金を払おうとしない攘夷浪士に、葵咲は少し苛立ちながら言った。
葵咲「払って貰わないと困るんですよ!ブロック塀の修理代があるんです!」
「それてめェの問題じゃねーのかよ!?知るかァァァァ!!」
土方は、葵咲の発言を聞いて、ここに来る前に違反者を取り締まる際に葵咲が破壊してしまった塀の事を思い出した。それにしても5000万は多すぎじゃね?と思った土方だったが、ツッコめる距離じゃなかったので、黙ってその場から見届けていた。
そんな葵咲達のやり取りに目を奪われていた二人は、背後の気配に気付くのが遅れた。ふと気付くと、拳銃を持った攘夷浪士が二人、すぐ後ろに立っていたのだった。
「てめぇらそこで何してやがる。」
土方「!!」
銀時「…しまっ!!」
二人が振り返り、刀と木刀を構えるよりも早く、攘夷浪士が引き金を引いた。銃弾を浴びる事を覚悟した銀時だったが、そうはならなかった。銀時が後ろを振り返ると同時に、何者かに押し倒されたからだ。
葵咲「くっ!!」
銀時「お前っ!!」
押し倒した人物は葵咲だった。
葵咲は子供の手を引いてこちらまで走ってきて、近くまで来ると子供の手を離し、そのまま自分だけ銀時に向かって飛び込んだのだった。攘夷浪士が放った銃弾は、葵咲の左腕を掠めた。そして銀時と葵咲はその場に倒れこんだのだった。
葵咲「…ったぁ~…。」
銀時と葵咲が倒れこむと同時に、土方は刀を鞘より抜き出し、二人の攘夷浪士を斬り倒した。
「ぐわぁぁぁぁ!!」