第2章 個人情報を守れれるのは己のみ。
そんな銀時と土方のやり取りを右から左に流していた葵咲だったが、突如ある気配に気付いて、土方の方にダイブしながら叫んだ。
葵咲「危ない!!伏せてェェェ!!」
葵咲は土方の胸元目掛けて飛び込んだ為、勢いよく押し倒す形になった。またこの女は…土方の怒りも限界に達しそうだったが、地面に倒れこんだ瞬間、銃弾が土方の顔右横にかすめた為、その感情は怒りから警戒へと一瞬で移行した。
土方「どわーーーっ!!」
銀時「おいおい、マジかよ…!?」
冗談だと思っていた銀時も驚きの表情で急いで伏せる。だが、銃撃が止むことはなく、このままでは銃弾を身体に受けるのも時間の問題と踏んだ三人は、近くの路地に急いで隠れた。
銀時「チィ。あっちから飛んできてるな、よし!」
物陰から銃弾の飛んでくる方向を見定めた銀時は、その方向へと走り出した。
土方「あ、おい!!」
銀時「お前はそこにいてその女護れ!!」
銀時を追いかけようとした土方だったが、葵咲をこのままここに一人放っておくわけにもいかないと思い、その場に留まった。銃撃がやんだと思ったのも束の間、攘夷浪士らしき男が五人、土方と葵咲をすぐさま取り囲んだ。
浪士「ククク、袋のネズミってやつだな、土方!覚悟ォォォ!!」
土方が抜刀しようとしたその時だ。葵咲が先に素早く懐に忍ばせていた小刀を抜き出し、攘夷浪士の刀を止めた。その俊敏さには土方も感心した。そして、更に驚くことに、力では圧倒的に不利と思われた葵咲だったが、攘夷浪士の攻撃は葵咲が刀を受けた位置からぴくりとも動かない。その力強さが予想外だった攘夷浪士は、怯んで半歩後ずさりした。その様子を見逃さなかった葵咲は、攘夷浪士の脇腹に蹴りを一発食らわせた。周りで様子を伺っていたその他四人の攘夷浪士にも隙が出来、葵咲は土方の手を引っ張ってその場を抜け出した。
(土方:こいつ…できる!護り屋を名乗るだけはあるな…。)
想像以上に鮮やかに切り抜けてみせた葵咲に、土方は更に感心した。