第17章 賃金の発生する仕事には必ず契約書を。
葵咲は入口を固めていた攘夷浪士五人を斬り、ビル内部へと突入した。潜入出来たのは良いものの、派手に正面突破で突入してしまった為に騒ぎとなり、内部にいる攘夷浪士にもその話は早々に知れ渡ってしまった。
「おい!女が侵入したぞォォォ!!」
「女だけじゃねぇ!そいつに続いて男が二人侵入しやがった!!」
「入口の奴らは何やってやがんだ!!」
「それが五人とも斬られちまったらしい!」
「なんだと!?」
「そいつらなかなかの手練みてぇだ!」
「ええい!さっさと探し出して殺せェェェェェ!!」
攘夷浪士達の目が葵咲達に向いたことは、葵咲にとっては好都合だった。いや、狙い通りといっても過言ではないかもしれない。浪士達の目が自分達に向く事によって、子供へ向く注意が少しでも軽減されるからだ。だが、それもそう上手くはいかなかった。葵咲がビル内の一室に身を潜めていると、攘夷浪士達の会話が聞こえてきた。
葵咲「ハァッ、ハァッ、ハァッ…。」
「おい、こっちの方からガキの声聞こえたな?」
「探すぞ!!」
葵咲「くっ!!」
葵咲は仕方なく、少しでも自分に注意が向けられるようにと、隠れていた部屋から出る事にした。