第16章 天然パーマの奴から巻き上げろ。
銀時「ただの恐喝じゃねぇかァァァァァ!!何処の地区の条例!?ポイ捨て見つかって1000万って聞いたことねーよ!!」
あまりの理不尽な罰金に、怒りを隠せない銀時。そしてその怒りは今度は土方へと向けられた。
銀時「お前どんな教育してやがんだ!ホントにこいつチンピラにするつもりかァァァ!!」
怒号する銀時に、土方は煙草の煙を吐き出しながら、至って冷静に答えた。
土方「今回のタイトルは『天然パーマの奴からは金を搾り取った方が良い。』だ。」
銀時「なんつータイトルにしてんだよ!」
そのタイトルに対して今度は葵咲が異論を申し立てた。
葵咲「いえ、『天然パーマの奴から巻き上げろ。』の方がゴロが良くないですか?」
銀時「何!?お前ら天パになんか恨みでもあんの!?つかここでタイトル決めんなや!!」
三人がそんなやり取りをしていると、町の住民の叫び声が届いた。
「大変だァァァ!立て篭もり事件だァァァァァ!!」
「!?」
葵咲「副長!行きましょう!!」
土方「ああ!」
二人は叫び声の聞こえてきた方へと向かって走り出した。
銀時「あ、おい!!」
呼び止める銀時の声を聞いた葵咲は、足を止め、何かを思い出したように銀時の前へと戻ってきた。
葵咲「あっ、万事屋さん、ってことでこの口座に明日までに1000万円振り込んで下さいね。一日遅れるごとに一割増しでお願いします。」
そう言って葵咲はポケットから銀行口座の書かれた紙を銀時に差し出した。
銀時「一日一割!?十一(といち)より性質悪ィじゃねぇか!つかこれお前の個人口座ァァァァァ!!」
反射的に紙を受け取った銀時は、振込先を見て葵咲の個人名になっていることにすかさずツッコんだ。だが、葵咲はそんな銀時を無視し、半ば強引に紙を押し付けてから言った。
葵咲「じゃあ私はこれで!」
葵咲は銀時に右手を振って、その場から駆け出した。
銀時「おいィィィィィ!!!!!…ったく!」
その場に一人取り残された銀時は、頭を掻きながら少し考え、銀行口座の書かれた紙を懐に入れて葵咲達の後を追って走り出した。