第16章 天然パーマの奴から巻き上げろ。
呆れ顔の銀時に、葵咲は笑って返す。セクハラにも負けずに笑顔で仕事をこなす葵咲の姿に安心した銀時は、その様子を伺った。
銀時「どうだ?仕事の方は順調か?」
葵咲「ええ、この通り。これも万事屋さんのお陰です。」
銀時「別に俺は何もしてねぇよ。」
葵咲「そんな事ないです。有難うございます。」
二人がにこやかにそんな話をしていると、土方が煙草を咥えながらやってきた。
土方「何やってんだ。」
葵咲「あ、副長。万事屋さんです。」
土方「んなもん見りゃ分かるよ。今は仕事中だ。公務執行妨害で逮捕すんぞ。」
銀時「なんでだよ!そっちから声掛けてきたんだろが!」
土方「じゃあアレだ。天然パーマの容疑で逮捕する。」
銀時「どんな容疑ィィィ!?んな容疑あったら人口の5分の1以上は容疑者だろうが!!チンピラみてぇなイチャもんつけてんじゃねーよ!」
何が気に食わないのか、土方は銀時に会った早々、そんなイチャモンをつけてくる。
怪訝な顔で土方の顔を見ていた銀時だが、ふと思いついたように手を叩き、土方を指差しながら言った。
銀時「さてはお前、アレだろ。俺がこいつと仲睦まじく喋ってんの見てヤキモチ妬いてんだろ。男の嫉妬は見苦しいぞ。」
土方「妬くかァァァァァ!!誰がこんな女なんかに!」
銀時「つーかなんでお前と2人で行動してんだよ。確かあのドSの隊っつってなかったか?」
思ったままの疑問を土方にぶつけたのだが、この質問には土方ではなく、葵咲が答えた。
葵咲「今日は真選組隊士としての心得や局中法度を教わる為に副長と見回りする事になったんです。」
銀時「フーン、職権乱用したってわけか。」
土方「俺が決めたんじゃねぇよ。」
銀時「てめぇこいつに仕事だとか言って、如何わしい事教えたりしてねぇだろうなァァァァァ!?」
土方「するわけねぇだろォォォォォ!!ふざけんな!!」
これ以上銀時と絡んでも腹が立つだけだと思った土方は、葵咲に先程の仕事を振った。
土方「おい、お前の見つけた仕事だろ。さっさと片付けちまえ。」
銀時「?」
葵咲「あ、そうでした。万事屋さん、ここはポイ捨て禁止です。今これ捨てましたよね?罰金です。1000万円用意しな。」
そう言って葵咲は左手を腰に当て、手のひらを上に向けながら、右手を差し出した。