第16章 天然パーマの奴から巻き上げろ。
自分はさっさとパトカーの助手席へと戻る。
そして土方も運転席へと戻り、シートベルトを締めたところで、葵咲が口を開いた。
葵咲「土方さん。いきなりあの言い方は良くないですよ。きっと普通に話しても分かってくれます。」
物怖じするどころか、土方にダメ出ししてきたのだった。
土方「バカ言ってんじゃねぇよ、なめられるぞ。そんなに言うなら次お前がやってみろ。」
そう言って次は葵咲に任せる事にした土方。パトカーを走らせながら、次なるカモ…もとい、違反者を探す。
少し進んだところで、同じく路上駐車をしようとしている車を発見した。土方は近くにパトカーを停め、車から降りた。葵咲も車から降り、今度は土方より先に進んで違反者の下へと歩む。
葵咲「すみません、ここでの路上駐車は禁止なんです。」
「アァ?んなこたァ知るかよ!」
葵咲「知るかよじゃありません。ダメな物はダメです。」
「くだらねぇ!付き合ってられるかってんだ!」
今度の違反者はどうやら一筋縄ではいかない様子だ。違反者は葵咲の言葉には耳を傾けず、そのままその場を立ち去ろうとする。
少し離れたところから様子を見ていた土方は、苛立ちながら煙草を吸っている。そして、葵咲の注意の仕方ではダメだと判断し、二人のところへと足を向けた。
(土方:ほら言わんこっちゃねぇ。これだから…)
そう思って足を進めた土方だが、次なる葵咲の行動を見て絶句した。葵咲は自らの刀を抜き、近くの民家のコンクリートで出来た塀を切り崩したのである。
「!!!!!?????」
葵咲「ダメな物は、ダメなんです。」
眉一つ動かすことなく脅しにかかる葵咲に、恐怖を感じた違反者は、冷や汗を垂らしながら足を止めた。
「でっ、ですよねぇ~…すみませんでしたァァァ!!」