第16章 天然パーマの奴から巻き上げろ。
土方はパトカーを運転しながら、まず始めに真選組としての心構えを説き、続いて局中法度について説明した。
そして一通りの説明を終えたところで、最も重要とも言える、違反者についても苦言した。
土方「…ってなところか。局中法度違反は即切腹だ。」
葵咲「分かりました。肝に銘じておきます。」
『切腹』という言葉に対して、顔色一つ変えずに承諾する葵咲に対して、土方は怪訝な顔をして思った。
(土方:本当に分かってんのか?真選組の仕事をなめられちゃ困る。今日の見回りでちょっと脅しとくか。)
ちょうどその時、今まさに路上駐車をしようとしている違反車を発見した。
土方はパトカーを停め、車を降りて違反車の方へと歩いていく。葵咲も助手席から降りて、土方の後を追った。土方は車から出てきた運転手の前に立ち、瞳孔を開いた鋭い目で睨みつけながら言った。
土方「おいゴルァてめェェェ何処に路駐してやがんだ?アァ?ここは禁止だ。標識見えてねぇのかてめェェェ。」
土方のチンピラのような態度に恐れおののいた運転手は、ただひたすらに謝った。
「ヒィィィ、す、すみません!すみませんんんん!!」
土方「罰金だゴルァ、さっさと金出しやがれ。」
「本当にすいませんでしたァァァァァ!!」
そうしてカツアゲに近い罰金徴収を行い、違反者は逃げるように車に乗って去っていった。ここまで何も言わずに傍らで土方の行動を見届けていた葵咲だが、ここで初めて口を開いた。
葵咲「じゃあ次行きましょうか。」
(土方:全然ビビってねェェェェ!!)
脅かすつもりで行なったカツアゲ…もとい、取締りにも顔色一つ変えない葵咲に、逆に驚かされる土方。葵咲はチンピラみたいな土方に物怖じしていない様子だ。