第16章 天然パーマの奴から巻き上げろ。
数週間前の出来事を思い出した土方だったが、気を引き締め直して葵咲に声を掛けた。
土方「じゃあ市村、見回り行くぞ。」
葵咲「はい。宜しくお願いします。」
そうして二人は屯所を出た。屯所を出た二人は、パトカーへと向かう。葵咲が運転席側の扉を開けようとしたところで、土方が葵咲に声を掛けた。
土方「…何しようとしてんの?」
葵咲「何って…運転に決まってるじゃないですか。」
土方「ちょ、マジやめてくんない。」
葵咲「なんでですか。私ちゃんと免許持ってますよ。この場合、部下である私が運転すべきでしょ。」
土方「いや、確かに本来ならそうなんだが、お前の運転は不安だ。命的に。俺が運転するわ。」
葵咲は大型自動車の免許も取得している為、本来なら安心出来るはずなのだが、その性格からか、何かとんでもない事故が起きそうだと予感した土方は、自らが運転する事を希望したのだった。
葵咲「失敬な!こう見えてゴールドですよ!金紙です!」
土方「金紙って何。」
葵咲「ゴールデンペーパーです。」
土方「何ゴールデンボンバーみたいに言ってんだよ!金爆みてーに略してんじゃねーよ!つーかそれただのペーパードライバーじゃねぇかァァァ!!」
葵咲「だーいじょうぶですって。なんならドリフトも披露しますよ。」
土方「せんでいいわ!!つーか公道でしたら違反だろーが!警察自ら交通違反起こしてどうすんだよ!!」
葵咲「冗談ですよ~。安全運転でいきますって。ただ一つだけ…誓って頂きたい事が…。」
土方「?」
神妙な顔つきで言う葵咲に、黙って耳を傾ける土方。