第15章 男は女に転がされるぐらいがちょうど良い。
「副長自ら・・・・?」
山崎「副長、そりゃいくらなんでも…」
止めに入ろうとする山崎の肩を、制するように誰かが掴んだ。急に肩を掴まれ、驚いた山崎は振り返る。
山崎「! 局長?」
近藤「両者位置につけ。トシ、手加減はするなよ。」
真剣な眼差しで発言する近藤に、隊士達の誰もが息を飲み、口を噤んで静かに土方と葵咲を見据えた。総悟も殺気だらけのオーラを改め、真剣な表情にかえて土方と葵咲を見やった。
土方「…分かってらァ。」
土方は葵咲に再び面をつけるよう促した。
そして審判の立ち位置に近藤が立ち、二人は構える。二人が呼吸を整えたところで、近藤が始まりの合図を唱えた。
近藤「試合、始めェェェェェ!!」
先に動いたのは土方。土方は猛スピードで葵咲に向かっていき、竹刀を上から振り下ろす。だが、葵咲はその土方の攻撃を真っ向から受け止めるのではなく、自らの竹刀で左に受け流した。
そして今度はすかさず葵咲が素早く土方に竹刀を振り下ろした。土方は自らの攻撃を受け流された事により、体制が崩れてしまっていた。しゃがんだ状態で急いで体制を整え、葵咲の攻撃を受け止めた。
なんとか攻撃は受け止めたものの、体制は良いとは言えない。上から押さえつけられている事により、土方の力は押し殺される。土方は葵咲の攻撃をなぎ払い、後ろへと飛びのいた。
そしてまた、間髪入れずに葵咲へと向かって行き、今度は下から竹刀を振り上げ、右腹あたりを目掛けて竹刀を叩き込もうとした。
だが、それも叶わず、今度はそのまま上へと受け流された。
攻撃を流されて直後、今度は葵咲が土方の隙のできた胴を目掛けて攻撃を仕掛ける。土方は今度は横に飛び退いて攻撃を交わした。
以降も土方が攻撃を仕掛け、葵咲が攻撃を受け流し、反撃をするという戦いの流れを繰り返した。そしてそれを見た隊士達は次々に感想を口に出す。
「あの副長と…互角!?」
「いや、それ以上じゃねぇか・・・・!?」
土方「っ!」