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銀魂 - 雪月花 -

第15章 男は女に転がされるぐらいがちょうど良い。


時は数週間前に遡る。
真選組隊内の動乱よりも前の話だ。葵咲のたっての希望により、真選組隊士達が稽古を行う際、葵咲の仕事状況等によって手が空いている時には葵咲も剣術稽古に参加することになった。
そしてその日、手すきとなった葵咲は初めて、隊士達と同じく稽古用の袴と剣道胴着を着用し、稽古に参加したのだった。


土方「今日は市村にも稽古に参加してもらう。おい山崎ィ!まずはお前が相手になれ。」

山崎「えぇっ!?お、俺ですか!?」


まさか自分への名指しがされるとは思っていなかった山崎は、自分を指差しながら驚く。


葵咲「手加減なしでお願いします。」


動揺し、あたふたとしていた山崎に向かってにっこりと笑って挨拶する葵咲。それを見て山崎は一気にその気持ちを和ませた。


山崎「よーし、じゃあ俺が葵咲ちゃんの稽古つけてあげるよ。手加減はしない…ぞぉ…(ハッ!)」


デレデレと言いかけた山崎だが、ふと周りの視線に気がついた。周りの隊士達が鋭い目つきで山崎を睨んでいたのだ。


(山崎ィィィ…絶対手加減しろよ~…!!)

(てめぇ…葵咲ちゃんに傷一つでもつけてみろ…俺がてめぇをぶった斬ってやる…!!)

(山崎:なんか皆めちゃくちゃ睨んでるんですけどォォォ!!)


隊士達の心の中が読めたわけではないが、その目つきから自分に敵意がある事は感じ取られたのだった。だが、その中でも異様なオーラに気付き、山崎はその方向に目を向ける。そこには今までにない鬼の形相で山崎を睨みつける総悟の姿があった。


(総悟:山崎ィ…殺ス殺ス殺ス殺ス…∞)

(山崎:あの人に至っては殺気しか出てないよ!!)


総悟の殺気に気付いた山崎は、身がすくんで動けずにいた。そんな様子を見た土方は、竹刀を床に叩きつけて怒号した。


土方「オラ山崎ィ!余所見してんじゃねェェェ!さっさと試合始めんぞ!」

山崎「あっ、す、すみませんんん!!」


周りの敵意から、山崎は葵咲には手加減して手合わせをしようと心の中で決意した。だがそんな山崎の心の内を読み取ったかのように、今度は土方が山崎を睨みつけながら言った。


土方「先に言っておくが、ちょっとでも手ェ抜いてみやがれ。俺がてめぇをたたっ斬るからな。」


進むも地獄、戻るも地獄。そんな言葉が適しているこの場で、山崎は覚悟を決めた。
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