第14章 人の話は最後までちゃんと聞くこと。
松平「おじさんは若い女の子が処罰を受けるところなんざ見たくないのよぅ。だから今回の件はァ、上には内緒だ。おじさんと葵咲ちゃんの秘密だ。二人だけの秘密だ。いいな?」
新八「二人だけの秘密って。思いっきり皆に聞こえちゃってますけど。」
今度は思わず新八がツッコんでしまった。だが松平には銀時や新八のツッコミは聞こえていないようだった。
葵咲「あの…、本当に宜しいのでしょうか・・・・?」
松平「警察庁長官の、この俺が言ってんだ。何も問題はねぇ。それにお前さん、あの市村家の人間なんだろう?」
葵咲「あ・・・・。え、ええ。まぁ。」
松平「あそこは武家の中でも名家だろう。願ってもねぇ人材の入隊じゃねぇか。」
葵咲「…と言っても元は分家と言いますか、養女として宗家に引き取られただけなのですが…。」
松平「分家だろうが養女だろうが関係ねぇ。なんせ真選組は芋侍の集まりだからなァ。とまぁ御託を色々並べたが、おじさんとしちゃあ葵咲ちゃんが入隊することは大歓迎なのよぅ。今度、おじさんのところにも挨拶に来てね。そんでその後飲みに行こうね。一晩中お酌付き合ってねぃ。」
そう言って松平は一方的に電話を切ってしまった。
新八「ちょっとォォォ!最後さらっとセクハラ発言して電話切っちゃったよ!!いいんですかあれェェェ!?」
近藤「心配するな新八君。松平のとっつァんの誘いは無視しとこう。」
新八「それもそれでいいのかよ!!」
土方は近藤と新八のやり取りは耳に入っていないようだった。それは葵咲の家柄に驚いていたからだった。
土方「・・・・お前…武家出身だったのか。」
葵咲「あ、ええ、まぁ。父方の実家がそうです。伯父が、父の兄が宗家です。けど…本当にいいんですか?そんな理由で…私なんかが真選組隊士になるなんて…。」
土方「何度も言わせんな。これはもう決定事項だ。むしろオメーに拒否権はねぇんだよ。」
葵咲「・・・・・。」