第14章 人の話は最後までちゃんと聞くこと。
何を言っても引き下がらない真選組。それを目の当たりにして葵咲は更に複雑な表情を浮かべる。それを見たその場にいる者たちは、葵咲を安心させるかのように、笑ってみせた。
新八「要するに皆さんは、これからもずっと葵咲さんと一緒にいたいだけでしょ。」
近藤「ま、そうとも言うな。」
神楽「やれやれ、これだから男共は。気持ちはもっとストレートに言わないと伝わらないアルヨ。」
葵咲「私…ここに居てもいいのかな…。」
葵咲の台詞はその場にいる者達に問いかけるというよりは、何処か自問自答しているようにも聞こえた。だが、そんな様子には誰も気付かず、笑顔で答える。
山崎「当たり前だよ!!」
近藤「まだまだこれからも仕事をこなしてもらわなければならんからな!!」
土方「ま、そういうことだ。頼んだぜ。」
葵咲「…有難う、ございます…。」
葵咲は自らの境遇を受け入れたが、何処かまだ迷いがあるようだった。
土方「市村、これからは勝手に自分だけで判断しねぇで、まずは俺に…いや、真選組(おれたち)に相談してくれ。」
葵咲「…はい。」
近藤「さーて、攘夷浪士どもも捕まえたことだし今日はこれで終了!帰って祝いの宴だァァァァァ!!」
「いぇーーーい!!」
葵咲「・・・・・。」
周りの盛り上がりとは裏腹に、表情を暗くしている葵咲。それに気付いた銀時は、葵咲に耳打ちするように小声で話しかけた。
銀時「心配すんな。俺も見張っててやっから。もしまた何かあったら頼って来い。」
葵咲「えっ・・・?…貴方は…。」
葵咲のその問いには答えず、銀時はその場を後にした。
新八「あっ、ちょっと銀さん!待ってくださいよ!!それでは葵咲さん、これからも頑張って下さいね!」
神楽「応援してるアル!」
葵咲「…うん、ありがとう。」
葵咲は小さく頷き、少し寂しそうな笑顔で万事屋の三人を見送った。