第14章 人の話は最後までちゃんと聞くこと。
土方はそれを見ながら煙草に火を点けた。煙草の煙を吐き出しながら土方は言った。
土方「・・・・まるで罰を受けてぇみたいな言い方だな。」
葵咲「そ、そういうわけじゃ…。」
土方の台詞に、葵咲は慌てて顔を上げた。
土方「じゃあ辞めたい理由を言え。今回の一件が理由ならそれは認めねぇ。」
葵咲「それ…は・・・・。」
そしてまた、何かを隠すように、葵咲は辛そうな顔をして視線を下に逸らした。
するとちょうどその時、この場に辿り着いた万事屋の三人が口を挟んだ。
銀時「お前の負けだ。」
葵咲「えっ…。万事屋さん?」
新八「貴方がどんな理由を並べたところで、この人達は引かないでしょう。」
神楽「変なところ頑固な連中アルからな。」
葵咲「でも…。」
総悟「葵咲姉ぇ!!」
山崎「葵咲ちゃん!」
そして総悟と山崎もようやくこの場に到着した。
葵咲「そーちゃん…退君も…。」
総悟「こんなヤローの為に辞めるなんて俺が許さねぇ!それが理由ってんなら俺がコイツを斬ってやりまさァ!!」
土方「…おい。」
山崎は辿り着くや否や、手にしていた紙袋の中から黒い服を取り出し、葵咲の前に差し出した。
山崎「これ…。君の制服。」
葵咲「えっ…!」
葵咲は驚きながらも、目の前に差し出された真選組隊士の制服を受け取る。そして近藤は何処か清々しい表情で腕組みしながら言った。
近藤「制服の意見が割れてしまってな、スカート派とショートパンツ派に分かれたんだ。」
新八「それただのアンタら男目線の好みの問題じゃないんですか。」
山崎「実は君を正式に真選組隊士として迎えるという話は、先日の一件が終わった直後、既に話が上がってたんだよ。君が身体を張って闘ってくれたお陰で今の真選組があるから。でも制服の件で揉めて時間がかかっちゃって…。」
新八「それが理由!?そんな理由で時間かかってたの!?」
そんな新八のツッコミは無視し、近藤は真剣な表情に改めて、葵咲の目を見据えて言った。