第2章 個人情報を守れれるのは己のみ。
銀時「ん?…ぶっ!!ぎゃーーーっはっはっはっはっは!!何やってんのお前ェェェ!!なんで女にお姫様抱っこされてんの!?ギャハハハハハ!!!」
銀髪天然パーマがトレードマーク、万事屋という何でも屋を営む男、坂田銀時である。土方のお姫様抱っこ姿を見て、銀時は大爆笑だ。
土方「うるせェェェェェ!!つかお前もいい加減降ろせェェェェェ!!」
何処かへ吹っ飛んだはずの怒りが舞い戻り、土方は銀時と葵咲の両方に怒鳴り散らした。勿論、そんな事で怯む葵咲ではない。
葵咲「えっ、でも段差が…。」
あくまで自らの任務を全うしようとする。
土方「大丈夫だっつてんだろうがァァァァァ!!!」
土方の何度目かの怒声を浴びて、やっと土方を下ろす葵咲。銀髪天然パーマの男に目を向け、土方に問いかけた。
葵咲「あの、土方さんのお友達ですか?」
その発言に先に反論したのは土方ではなく、銀時の方だった。
銀時「友達ィ?んなわけ・・・」
葵咲の顔を見た銀時は、最後まで言い終わらぬうちに、別の言葉へと切り替えた。
銀時「お前・・・」
自分が知っている顔によく似ている事に気付いたからだった。「お前…」と言われて自己紹介を促されていると思った葵咲は、自分の名を名乗った。
葵咲「初めまして、市村葵咲と申します。」
葵咲は丁寧にも頭を深々と下げる。
銀時「えっ?市村?」
銀時は想像していなかった姓に思わず聞き返す。
土方「・・・・・。似てるだろ、あいつに・・・。」
戸惑っている銀時の表情を見た土方は、自分が葵咲に出逢った時最初に抱いた印象をそのまま告げた。
銀時「あ?え、あぁ…。」
土方と銀時のやり取りの意味が掴めない葵咲は、ただきょとんとしていた。