第14章 人の話は最後までちゃんと聞くこと。
葵咲「なっ!?どうして・・・・!」
その質問に男は振り返り、腕を組んで言った。
謎の男「別にぃ~。だってあいつに聞かれなかったし?見つけたら言えとか言われてるわけでもないからねェ~。」
葵咲は怪訝な顔つきで男を睨み付ける。男はそれを物ともせずに、話を続けた。
謎の男「それに、アンタ真選組にいる方がなんだか面白そうだしさァ~。ちょっと様子を見てみようかなってね。」
葵咲「・・・・・。」
謎の男「今日はそのこと伝えに来たんだ。だからさっきの攘夷志士も俺とは関係ない。」
今回、会ってからずっとヘラヘラした顔つきで話していた謎の男だが、ここまで話して急に表情を変えた。目を見開き、瞳孔を開いた冷たい眼差しで薄ら笑いを浮かべている。それはどこか猟奇的とも言える表情だった。
謎の男「でも、もしアンタがまた今日みたいに真選組を護る為とかで、くだらない行動を起こしたら、その時は色々チクッちゃうからね?その意味…分かるよねェ?」
葵咲「!! ・・・・・っ。」
そう言われた葵咲は、苦虫を噛み潰したような表情をした。
謎の男「いいねぇ~そういう表情!そそられるよ。クククッ。だから…俺を失望させないでくれよ?フフッ。じゃあねぇ~。」
葵咲「・・・・・。」
そう言って男は右手をひらひらとさせながら、今度は振り返らずに去っていった。
葵咲はただその姿を何とも言えない表情で見送っていた。