第124章 恋のキューピッドも自分の事が一番大事。
猿飛が声にならない唸り声を上げている横で、九兵衛は心配そうな目を妙へと向ける。
九兵衛「けど、妙ちゃんはそれで良いのか?葵咲ちゃんの事は良いとして、二人が上手くいって別行動になってしまえば妙ちゃんがゴリラと二人きりになるんじゃ…。」
妙「そう。そこで先手を打っておいたの。元はと言えば『二人の仲を取り持って欲しい』というのは近藤さんからの要望。だからその報酬として二人が上手くいけば金輪際ストーカー行為はやめて欲しいってね。」
九兵衛「!!」
九兵衛は妙の事が好き。妙の嫌がる事をするストーカーゴリラは邪魔でしかない。これは九兵衛としても見返りが望めた。
猿飛「やるしかないようね。」
九兵衛「ああ。僕達が必ずやこのデート、成功に導いてみせる…!」
妙「ふふっ。お願いね、二人とも。」
意気込む二人を尻目に、妙は黒い笑みを浮かべる。妙の目的は、その更に向こうにあった。
(妙:はっきり言って、近藤さんがこの約束を守るとは思えない。けどもし土方さんが葵咲ちゃんと所帯を持つ事になれば、あの土方さんと言えど、ある程度は家庭に目を向けなければならなくなる。共働きなら尚更、ね。そうなれば真選組の頭脳と言われる副長の座は危ぶまれる事になり…あの無能なゴリラだけじゃ立ち行かなくなって真選組は瓦解。私へのストーカー行為も出来なくなるって算段よ。)
真選組局長・副長の退任、引いては真選組の解散を目標としていた。近藤のストーカー行為は、最早そこまでしなければ止まらないと踏んでいるのだ。
妙は表情を改め、いつもの笑顔で葵咲達に合流する。
妙「お待たせ。じゃあ行きましょうか。」
葵咲「うん。何処から回る?」
妙「そうね、まずはコーヒーカップに行きましょう。」
妙も近藤と同じく、九兵衛達とはトランシーバーで連絡を取り合う形を取る事にした。妙は隙を見て小声で九兵衛に連絡を入れる。
妙「まずは手始めに、コーヒーカップで二人だけの世界に引き込むわ。」
九兵衛「分かった。」