第13章 人生はRPGみたいなもの。
葵咲「先日の一件で私は女中という身分をわきまえず、廃刀令のこの時代、許可なく抜刀してしまいましたから。」
新八「そんな…。」
神楽「何言ってるアルか!あれは仕方ない事だったアル!!」
新八「そうですよ!貴方がそうしていなければもっと多くの人が傷付いてました。功績を称えられることはあっても罰せられることではないでしょ!!」
葵咲「駄目ですよ。そんなの理由になりません。本来なら、屯所で待機していなければならないところを、勝手な行動したんです。それに敵とは言え、多くの人を斬りました。処罰は免れないでしょう。これは私の…けじめなんです。」
あまりにも突飛な発言であるが、葵咲の真剣な眼差しに新八と神楽は何も言葉を返すことが出来ないでいた。
葵咲「・・・・万事屋さん達には、奉公先を探す際、折角取り計らって頂いたのに…本当にすみません。」
新八「葵咲さん・・・・。」
葵咲の意志の固さを見て、新八と神楽は寂しげな表情をする。
だが、この男だけは真剣な眼差しで葵咲を見据えた。
銀時「・・・・・。 お前…なんか隠してんだろ。」
葵咲「えっ?いや、そんな…ことは・・・・。」
銀時「・・・・・。」
葵咲は先日の一件において、相手が攘夷浪士とは言え、無許可で刀を抜いた。その行為が処罰の対象であることは間違いない。そしてそんな人間が真選組の女中をしているとなっては、真選組の評判が地に落ちる。そう思った葵咲は処罰される前に退職願を提出したのだろう。自分が真選組と無関係であれば、評判が落ちることはない、そういう理屈だろう。
だが、その裏にはまだ何かが隠されている、それを銀時は見逃さなかったのだ。なおも見つめる銀時の視線に耐え切れず、葵咲は思わず視線を逸らした。
葵咲「・・・・・っ。 あの、私…。」
困り顔で言う葵咲を無視して、銀時はため息をついた。
銀時「…ったくお前は。相変わらず嘘が下手だな。態度に出すぎなんだよ。」
葵咲「・・・・・。」