第13章 人生はRPGみたいなもの。
一方その頃、場所は万事屋。
早朝から(…とは言っても時計は九時を回っているのだが。)玄関のインターホンが鳴った。
銀時「…ったく、誰だよ。こんな朝っぱらから…。」
眠い目を擦りながら、銀時は布団から出て玄関へと向かった。
銀時「お?」
玄関を開けると、そこには葵咲が立っていた。
葵咲「おはようございます。」
一先ず葵咲を玄関先に残し、銀時は部屋に戻って着替える。
着替えた銀時は、再び玄関へと戻り、葵咲を万事屋の中に入るよう促した。ちょうどその時、実家から通っている新八も万事屋に出勤し、一緒に部屋の中へと入ったのだった。
銀時と葵咲は、向かい合わせになるようにソファに座る。新八はいつものように来客用のお茶を入れる為、席を外した。神楽はまだ押入れの中の布団で熟睡中だ。
葵咲「この間は色々と有難うございました。」
銀時「この間?あぁ。あのヲタクのことか?お前が礼を言うことじゃねぇだろ。礼を言うべき本人はどうしたんだよ?」
葵咲「今は副長の仕事に戻られてます。」
銀時「はっ。呑気なもんだなァ。」
銀時はソファにもたれ、ソファの背もたれに肘を掛けて、上を見上げながら言った。葵咲はそんな様子の銀時を見て、笑いながら答える。
葵咲「ふふっ。これでいいんですよ。」
銀時「俺らは損しただけだけどな。まっ、別にいーけど!」
葵咲「ごめんなさい。でも、本当に有難うございました。」
そんな話をしていると、神楽も起床し、着替えて顔を洗ってから銀時の隣へと座った。
銀時「別にいいって。で?それだけを言いに来たわけじゃねぇんだろ?」
銀時は葵咲が荷物を持ってここに来たことに不審に思い、問いかけたのだった。
葵咲「あ…、えぇ。」
銀時「?」
返答した葵咲の表情は沈んでしまった。
そして少し間を置いてから、申し訳なさそうな顔をして、葵咲が言った。
葵咲「私…今朝退職願を出して来たんです。」
銀時「!?」
新八「なっ!どうして…。」
その時、ちょうどお茶を入れて戻ってきた新八がすかさず問い返す。