第124章 恋のキューピッドも自分の事が一番大事。
大晦日カウントダウンライブ当日、大江戸遊園地。入場ゲートのところで固まるのはこの二人。
葵咲「・・・・・。」
妙「・・・・・。」
固まる理由は勿論・・・・。
土方「・・・・・。」
近藤「やぁやぁ、お妙さんに葵咲じゃねぇか!奇遇だな!」
全然奇遇でも偶然でもない。その事は葵咲にも妙にも分かった。
バカ正直に『ダブルデートしよう』と誘っても断られる事が関の山だと思った土方は、葵咲と妙の二人で遊園地に行かせる事にした。そして入場ゲートで待ち伏せし、偶然を装って二人と合流しようと考えたのだ。勿論、その作戦は近藤にも共有済である。
二人の冷ややかな視線を物ともせず、近藤はガハハと笑顔を浮かべながら勝手に話を進める。
近藤「ここで会えたのも何かの縁、四人で一緒に…。」
妙「さ、行きましょ葵咲ちゃん。」
葵咲「うん、行こ行こ。」
近藤達に背を向け、さっさと入場ゲートをくぐろうとする葵咲と妙。近藤は慌てて二人を引き留める。
近藤「あああぁぁぁぁ!ちょっと待ってェェェェェ!!」
妙「あら近藤さん、ここは遊園地ですよ。動物園はあちらです。」
近藤「当然のゴリラ扱いやめて!檻に帰そうとしないで!せめて話!話だけでも聞いて!!」
近藤は半ば強引に妙の手を引いて葵咲と土方から引き離す。その場に残された葵咲は、何も言わずに じと~っとした目つきで土方を睨んでいた。
葵咲「・・・・・。」
土方「断われねぇ理由があったんだよ!」
葵咲「へぇ~。まぁ上司だもんねぇ。仕方ないよねぇ。」
完全なる棒読みである。まぁそれも仕方のない事。このチケットについては、妙に対して慰安旅行の時の礼にと渡されたもの。土方のフォローに感心したのに裏切られた気持ちは否めない。
一方の土方は、こうなってしまった理由を正直に話したいところ。だが、流石に夜の弱み握られたとは言えないだけに、ぐっと下唇を噛み締めるしかなかった。