第13章 人生はRPGみたいなもの。
土方「市村が…退職願を?」
近藤から知らされた事実は、土方の予期せぬものだった。その予期せぬ事実に驚きを隠せない。土方の口から咥えていた煙草がこぼれ落ちた。
近藤「あ、あぁ…。」
土方「なんで、急に…?」
近藤は言い淀み、顔を曇らせて俯く。だが、言わなければならない事実なのだと、自分に言い聞かせるように意を決して顔を上げた。
近藤「・・・・実はな…。」
言い出そうとした近藤の言葉を遮るように、山崎が慌てて割って入った。
山崎「局長!!真実は副長には・・・・」
近藤「ザキ。確かに、この事実はトシにとっては受け入れ難いものだろう。だが、隠して何になる。」
土方「さっき思いっきり下手な嘘で隠そうとしてたのは何処のどいつだよ。」
的確なツッコミが入ったのだが、近藤はさらっと流して話を続けた。
近藤「とにかく。どんな事実であろうとトシにも知る権利がある。」
山崎「・・・・・。」
土方「どういうことだ?」
その時、近藤の携帯電話が鳴った。
近藤「はい、もしもし…と、とっつァん!」
どうやら電話の相手は警察庁長官、松平片栗虎のようだ。
松平「おい、女は見つかったのか?」
近藤「い、いや、それが…まだ・・・・。」
松平「何やってやがんだバカヤロー!!野放しにしちゃ危険だろうが!いいか、草の根分けてでも見つけ出せ!指名手配でも何でもしろ、手段は選ぶな。何としてでも奴らより先に探し出せェェェ!!分かったなァァァ!?」
松平は電話越しに怒鳴り散らし、電話を一方的に切った。
近藤「・・・・・。」
切られた携帯電話を見つめる近藤の表情は、いつになく重く、暗いものだった。