第115章 スタンドの第六感は当たる。
そうして葵咲と将軍は肝試しに出発。葵咲は怖いものは苦手とまではいかないが、得意というわけでもない。初めて体験する本格派、スタンド肝試しに少しビクついていた。館内を恐る恐る進みながら、葵咲は将軍の顔を見上げて言葉を掛ける。
葵咲「将ちゃんは、こういうの得意ですか?」
茂々「将軍家は代々、肝試しは得意だ。」
ドヤ顔で答える将軍。え、そこまで?そう思ってしまう葵咲だったが、少しの震えも動揺もない将軍の様子を見ると本当なのだろう。頼もしい限りだ。その事に葵咲は少しホッとしたような顔を浮かべる。
葵咲「そうですか。私は苦手ではないんですけど、得意でもなくて…。」
スタンド自体にそこまで恐怖はないが、過去のトラウマから暗い場所は あまり得意ではない。葵咲の場合はトラウマからの苦手意識の為、暗い+狭い+雷の三点が重なった場合のみ絶大な恐怖を感じるのだが、そのうちの一つ“暗闇”があり、しかもここは普通の人間でも恐怖を感じる程のスタンド温泉。流石の葵咲も少し怖いという感情が沸き上がっていた。そんな葵咲の心情を読んだのか、将軍は葵咲の方へと右肘をスッと出す。
茂々「余がエスコートしよう。」
腕を組むよう促す将軍。そんな将軍に葵咲は驚き、慌てて両手を振るう。
葵咲「えぇっ!?そ、そんな恐れ多い…!」
決して嫌なわけじゃない。だが仮にも上様を護る立場の真選組(人間)が、エスコートしてもらう事には気が引けた。勿論、将軍も決して下心から言ったわけではない。紛れもなく善意で。怯える葵咲のエスコートを申し出たのである。将軍は恐縮する葵咲に、首を横に振って笑顔を向けた。
茂々「今日は将軍ではない、ただの茂々。萎縮する必要はない。」
そこまで言われては断る方が逆に申し訳ない。葵咲は少し照れながらも将軍の腕に手を回した。
葵咲「…じゃ、じゃあ…お言葉に甘えます。」
将軍はフッと笑みを零し、二人は再び歩き出した。