第115章 スタンドの第六感は当たる。
- 十分後 -
時計を見て、自分達の番が回って来た事を確認した葵咲は、将軍の顔を覗き込む。
葵咲「では将ちゃん、行きましょうか。」
茂々「うむ。」
銀時「…葵咲(あいつ)ホントに大丈夫か?」
二人の出発を眺めていた銀時。見ていると将軍は邪な期待を抱えているのか、鼻息荒く興奮気味。葵咲が将軍に襲われやしないかと心配したのである。
だが、そんな銀時に言葉を返すのは土方だ。土方は少し苛立った様子で腕組みしながら舌打ちをする。
土方「テメーはいつから他人の心配出来るようになったんだ?今から俺達が向かおうとしてるのは戦場でも死地でもねぇ。黄泉の世界だぞ。」
まるで死刑宣告を待つ者…、いや、死後の世界へと旅立とうとする、閻魔大王の前にいる霊のような。そんな土方に、銀時は強がって自分に余裕がある素振りを見せる。
銀時「え?何?ビビってんの?お前がやめたいっつーんなら一緒にやめてやっても良いけど?」
土方「バッ、ビビってなんかねーよ。ただお前がさっきビビッてたから気ィ利かせた言葉掛けてやっただけだろうが。」
銀時「全然気が利いてないんだけど。気遣いゼロの言葉だったんだけど。」
二人は近くに置いてあった椅子に腰掛けている。一人は貧乏ゆすりしまくり、一人は足を組み換えまくり。歯医者で順番待ちをしていた時と同じ状況だ。(コミック第30巻263訓参照)。
土方「つーかお前、さっきから何なんだよ。足組み換えすぎじゃね?え?何?ビビってんの?お前がやめたいっつーんなら一緒にやめてやっても良いけど?」
銀時「バッ、ビビってなんかねーよ。ただお前がさっきビビッてたから…。」
そんな強がりを見せ合う二人だが、第三者から見れば一目瞭然。暫く二人のやり取りを傍観していたレイが、大きなため息を吐いて二人のやり取りに終止符を打った。
レイ「そのやり取り、まだ続くの?」
そんな三人のやり取りをぼーっと傍観していた葵咲。葵咲は土方を眺めながら、ふと思う。
(葵咲:そういえば土方さんって怖いもの苦手なんだっけ。案外可愛いトコがあ…)
そこまで考えて葵咲はまたもやハッとなる。
(葵咲:何、今の“可愛い”って!!しっかりしろ私ィィィィ!!)
煩悩をなくす為に、再び木に頭をぶちつける葵咲。そんな葵咲を将軍とレイは訝しげな目で見ていた。
