第114章 誰にでも優しいより自分だけに優しい方が特別感が増す。
山崎「手を繋ぎたいです!!」
プライドや自分自身の体裁よりも欲が勝った。
気が付けば言葉が口から出ていた。発した後でハッとなる山崎。もしかしたらガッついてると思われて引かれてしまったかも。そう思ったが、出した言葉は引っ込められない。少し心配になる山崎だったが、たまはすぐさま笑顔で首を縦に振った。
たま「了解しました。」
(山崎:生きてて良かった…!!)
またもや涙を浮かべて喜ぶ山崎。そうして二人は手を繋いで旧館内を歩き進む。だが一歩足を踏み出したところで、たまがピクリと眉を動かして顔を上げた。
たま「! 山崎さん、少し不穏な空気を感じます。」
山崎「えっ!?」
(山崎:俺の不純な動機が読まれた!?)
たまは山崎が怖がっていると思って善意で手を繋いでくれている。そんなたまの優しい心を利用して自分の欲を優先させた山崎。その事がバレたのだろうかとヒヤリとする。そんな山崎の胸中知らず、たまは急ぎ足で歩を進め始めた。
たま「少し急ぎましょう。」
山崎「は、はい…。」
やはり幻滅されてしまったのだろうかと肩を落とす山崎。山崎たちは足早に旧館内を進んで行った。