第114章 誰にでも優しいより自分だけに優しい方が特別感が増す。
- 十分後 -
レイ「じゃあ次。五番目のペア。」
レイの呼び掛けを聞いた総悟は、フゥと小さくため息を吐いて一歩前へと躍り出る。
総悟「俺ァ棄権で…。」
葵咲と組めないのなら参加する意味はない。別に怖いわけではないが、肝試しが好きなわけでもない。そう思った総悟は右手を挙げて不参加表明をした。
だが・・・・
ガシッ!
総悟「!?」
突如肩を組まれる総悟。ビクリとしてその人物へと目を向ける。
月詠「ど~こ行~くの~?私と一緒に行けないっつーんじゃねぇだろうなぁ…アァ!?」
総悟「…え?いや、あの・・・・。」
月詠「さっさと酒つがんかいワリャァァァァァ!!」
くじを交換した事で総悟のペアは月詠になっていた。月詠は酒瓶をバットの如く振りかざし、総悟を打ち飛ばす。見事なホームランだ。そんな情景を見た新八はすかさずツッコミを入れる。
新八「あの人なんでまた飲んでんですかァァァァァ!っていうか違うんですけど!ここ飲みの場じゃないんですけど!肝試しなんですけどォォォォォ!!」
温泉で酔いを覚ましたはずの月詠は何故か泥酔い状態。聞くところによると、肝試しが始まる前、頭を冷やそうと一杯飲んだ飲み物が、水ではなく日本酒だったらしい。月詠は飛ばした総悟へと近寄り、その首根っこを掴んでズルズルと引きずってゆく。そんな月詠を見て日輪はクスクスと笑った。
日輪「月詠ったら男の子と肝試しなんて初めてだから照れてるのね。」
新八「いや、違うよね!?何度も言うけど ただの立ち飲み屋のオッサンだよ!!」