第114章 誰にでも優しいより自分だけに優しい方が特別感が増す。
服部達が出発してから十分後。次のペアは長谷川とお登勢。入口前に佇む二人は何とも言えない微妙な表情を浮かべている。
長谷川「これ誰得?服部&西郷(さっきの)に続いて、この組み合わせ見て誰が楽しむの?」
読者の心の声に代わって長谷川が吐露する。それに対して銀時が作者柚木の心の声を代弁した。
銀時「見るに耐えないペアをさっさと済ませようっていう作者の粋な計らいだよ。」
お登勢・長谷川「ふざけんじゃねぇぞコラァァァァ!!」
モブ扱いされた二人は大激怒するが、その甲斐なくサラリと流される。長谷川達が出発したのと入れ違いに、館内から人影が。
『新手のスタンドか!?』、銀時がビクリとして構えるも、その正体は一番に出発した神楽とそよ姫だった。
そよ「戻りました~!」
銀時「やけに早ぇなオイ。」
然程大きくない旅館とはいえ、肝試し仕様に灯りは薄暗くされ、スタンドがはびこっている。そんなにサクサクと進めるものなのか。途中で諦めて逃げ帰って来たのでは?そんな疑いさえ浮かぶ。銀時が眉根を寄せて神楽達を睨んでいると、神楽は剥がしてきたお札を見せながらニッと笑った。
神楽「前に来た事あったアルからな。」
銀時「!」
神楽の言葉を聞いて何かに気付いたようにハッとなる銀時。そしてその思考の元、ニヤリと笑みを浮かべた。
(銀時:そうだ、他の連中と違って俺達は前にここに来てんだ。俺には地の利がある…!幸い俺の前は葵咲のペアに、ヅラのペア。さっさと目的地に向かやァ安全に札を引き剥がす事が出来る…!!)
先程のレイの言葉を気にしていた銀時。最後にお札を引き剥がすと自分達に厄災が降り注ぎ兼ねない。だが二組を抜かして十番以内に入れば身の安全は補償されるはず。そんな余念が浮かんだのである。