第113章 肝試しはペア決めが一番盛り上がる。
やいのやいのと騒ぐ銀時達の姿を、遠からず近からずの距離で葵咲は眺めていた。葵咲は土方の姿をじっと見つめる。その胸中は土方の身を案じているのではなく…
(葵咲:土方さんは…銀ちゃんとペアか。まぁ他の女の子と組まれるより良…。)
土方のペアについて考えていた。ペアとなった人物が銀時と知り、シュンとなる葵咲だったが、考え方を改めてプラス思考へと切り替えてみる。だがここで、思いがけない自分の思考に気付いた葵咲はハッとなった。
(葵咲:・・・・ってちょっと待ってェェェェェ!!なんで私土方さんの事気にしてんの!?)
皆の事を気にしているわけではなく、土方だけを気にしてしまった葵咲。その事に自分でも驚く。そしてその考えを改めるべく近くの木にガンガンと頭を叩きつけた。
(葵咲:いかん!いかんいかんいかんいかんんんん!!何考えてんだ私ィィィィィ!!別に関係ないじゃん!気をしっかり持てェェェェェ!!)
新八「ちょ、葵咲さんんんんん!?どうしたんですか!?大丈夫ですか!?」
突然狂ったように頭を木に叩きつける葵咲の姿を見て驚愕する新八。スタンドにでも取り憑かれたのか。青ざめながら様子を窺う新八に気付き、葵咲は振り返った。
葵咲「だ、大丈夫。」
新八「いや、全然大丈夫じゃないでしょ!肝試し始まる前からホラーになってますけどォォォォォ!!」
額から血を垂れ流す葵咲。ドクドクと流れ出る血はホラー映画そのものの情景。その事を叫ぶ新八だったが、葵咲は血を拭き取って平常心を装った。
そしていよいよ肝試しが始まる。集う一行に向けてレイは声を掛けた。
レイ「じゃあ一番の人から順番に。十分間隔で次の人スタートね。」
帰って来ても来なくても、十分経てば次のペアがスタートする形式。レイの説明を聞いて神楽とそよ姫は手を繋いで笑顔を向け合う。
そよ「行こう、神楽ちゃん。」
神楽「うん!」
神楽・そよ「レッツゴースト!」
繋いでいない方の手で拳を掲げる神楽とそよ姫。そんな無邪気な二人に苦言を呈するのは銀時だ。
銀時「やめてくんない!?その掛け声やめてくんない!?Sランク心霊スポットみたいだからやめてくんない!?」
ダークギャザリングの世界観を思い起こさせる掛け声に肝を冷やす。
そんなビビりまくりの銀時をよそに、二人はスタートした。